【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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セレッソが中国で見せた醜態…リッピはなんと語ったか

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広州の強さが圧倒的であったのだろう。

C大阪を責める気にはなれない。

ACLベスト16広州vsC大阪セカンドレグ。

1stにホームで15と手痛い敗退をきっしたC大阪は、この日、アウェイで5点差以上をつけて勝たなければならないという状況。相手はアジアチャンピオン。はっきりいって、無理だ。

しかし、プロのクラブである以上、試合前からあきらめの姿勢を見せるわけにはいかない。現に主将の山口蛍も「50で勝てばまだ上にいける。限りなく難しいことはわかっていますが、不可能じゃないと思っています」と語っていた。

だから、C大阪の本気を信じて、広州天河体育中心に足を運んだのだが…

プロの意地はどこにいったのか。

山口のコメントはあくまで建前だったのか。

スタメンが発表されると、もはやそれは「広州さん。どうぞお先へ」という態度丸出しのものだった。

誤解のないように言っておくと、C大阪のスタメン選手たちが悪いとか、そういう意味ではない。あくまで、アジアチャンピオン相手に、相手のホームで、5点差以上つけて勝たなければならない試合に対して、プロのクラブとしてどういう姿勢で臨むのか、ましてやキャプテンの上述のようなコメントもある中で、たとえ困難なミッションだとしても、どこまで目標(5点差以上つけて勝つ)に近づけるのか、応援してくれるサポーターのためにも、特にわざわざ広州まで足を運んでくれる彼らのためにも、それを見せるのがプロクラブなのではないか、という前提での話である。

まぁ実際にはフォルランを帯同させなかった時点で「白旗をあげたな」と思ったのだが、そしてそれをブログにも書いたのだが、スタメンを見て愕然とした。柿谷がいない。蛍もいない。南野もベンチ。完全に試合を捨てたようだ。結果的に1stレグから6人の選手を入れ替えたことになったうえ、これまで公式戦でベンチ入りすらしていなかったCBの大卒ルーキー小谷がスタメンだというではないか。

一方のリッピ監督は、外国人3人を起用してきた。

正直、1点でもC大阪から奪えば、もう息の根を止めたことになるのだから、前半でゴールを奪って、あとはゆっくり休ませる予定だったのだろう。だが、このスタメンでは広州もモチベーションがあがらない。なにせ、相手が勝ちにこないのだから。

アジアのクラブを代表する大会で、しかもそのベスト16で、試合前から勝利をあきらめて、先発メンバーにそれをありありと反映させるこの醜態。広州もさすがにこの相手に対して本気でプレーしようとは思わなかったのであろう、手抜きもいいところ。むしろ怪我をしないようにする前提すら見えていて、まるで練習試合をしているような、(広州側は)気の抜けた試合となってしまった。

かくして、試合は非常に見ごたえの薄いものとなった。

結果はC大阪が10で勝利。トータルスコア52で広州がベスト8進出を決めた。

試合後、リッピ監督は自チームの選手たちを叱った。

「1stレグのスコアが51で、今日の相手の陣容が主力の抜けたメンバー。そういうことがメンタルに影響したのだろう。前半は細かいミスが多く、GKやDFのミス(オウンゴール)を含めて、戦っていなかった。決して疲労のせいではない」

「広州はまだ偉大なチームではない。偉大なチームは今日のような失態を犯さないからだ」

こう語り、試合をあきらめた相手に対して、手を抜く試合をした選手たちを叱った。

もっとも、C大阪を責める気にもなれない。

現実的に、無理なのだ。ベスト8は。

だったら、主力に怪我をさせたくない。

ましてや、柿谷、蛍は日本代表としてブラジルにも行くのだ。

そんな選手を、このような試合でフル出場させて、怪我のリスクを高めるわけにもいかない。

誰を責める気にもなれないが、2万人以上が詰めかけたスタジアムの片隅で、相手サポーターからの激しいブーイングを浴びながらも試合終了まで応援していたC大阪サポーターのみなさんの姿を見たとき、なんとかならないものかと思った。後半、柿谷も蛍も出てきたが、結果はすでに出ていたし、ゴールという見せ場もなかった。

両チームにとって、なんとも後味の悪い試合となってしまったが、リッピ監督のこの一言がせめてもの慰めだ。

「今日は非常に残念であり、負けてしまったが、結果的に我々はベスト8に入った。これが一番重要なことだ。他のチームやこれまで我々が対戦したJリーグのチームはベスト8に入ってこなかった。これが重要なんだ」

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筆:小松英之 ツイッターはこちら

小松英之(こまつひでゆき)

サッカーコラムニスト。

サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。

【略歴】

静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。

【観戦経験】

英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシーマンチェスターC。

リーガ:バルセロナ

セリエ:ユベントス、ローマ。

ブンデスニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV

欧州CL:バルセロナベンフィカ

【中国Cリーグ】

中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。

08年 Cリーグ武漢光谷の日系企業スポンサー募集担当。

08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。

09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。

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