イタリア代表が「はまった」記念日
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※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
ACLベスト16 広州(A) 51 C大阪(H) 1stレグ
以前、広州恒大について記事を書いたとき、こんな内容のことを書いた。
「今季、広州には退団したコンカに換わって、イタリアのディアマンティが入団した。こちらもワールドクラスの選手だが、チームに馴染むまでにもう少し時間がかかるだろう」
この試合は、まるで「もう馴染んだよ」と宣言でもするかのように、躍動していた。今日がディアマンティが「チームにはまった記念日」になるのではと思うくらいだ。
リッピ監督が「うちは一貫して自分たちのサッカーをしている。明日は勝てたらいいね」と語ったとおり、アウェイにも関わらず、広州はいつもどおりの試合運びだった。守りに入るようなことはしない。さすがはチャンピオンだ。
先制したのは広州。前半22分。ムリキがディアマンティとの見事なワンツーでC大阪DF陣の間をすり抜けシュート。ムリキの落ち着いたプレーで10とリードする。ディアマンティの素晴らしいパスと連携が見られたことが何よりうれしい先制点であった。
だが、C大阪にもワールドクラスの選手がいる。前半30分。それをまざまざと見せつけられた。長谷川の同点ゴールは、フォルランの見事なアシストからだった。一見、シンプルなアシストのように見えるが、このプレーに限らず、フォルランのプレーを見ていると、「ゴールのイメージ」がきちんとあってひとつひとつプレーしているように見える。しかもそれは、何もシュートだけではない。この場面のアシストもそうだったが、常にゴールのイメージがあるがゆえに、常にゴールに向かっていく、というより、ゴールにつながっていくようなプレーをする。さすがは、W杯得点王だ。
「そりゃなかなか簡単には勝たせてもらえないだろう。アウェイなのだから、1失点は想定内。試合はここから」と思っていたところへ、スタジアムに集った赤い国旗を振るサポーターたちを歓喜させる展開が待ち構えていた。
前半34分。
広州がPKを獲得。C大阪側は判定に不服そうであったのが少し申し訳なかったが、これをエウケソンが確実に決めて2ー1。そして、先制点に続き、またもディアマンティが見せる。左サイドで得たFKのチャンス。蹴るのは当然、左利きのディアマンティ。見事にエウケソンの頭にぴたりと合わせて3点目。これで31。アウェイで、前半だけで、なんと3点も決めたのだ。もはやお祭り騒ぎだ。広州は前半を31で折り返した。
こうなると、見たいのがディアマンティのゴールだ。後半に向けて期待が高まる。
後半が始まると、ホームで負けられないC大阪が怒涛の攻撃を見せる。ゴールが決まってもおかしくないような次々と繰り出される波状攻撃に、広州DFも必死で対応する。
しかし、攻められながらも、広州も得点チャンスを生み出していく。しかも、ディアマンティのゴールチャンスが。57分、67分と連続してゴール前でチャンスがあったが、ゴールならず。71分には絶好の位置から直接FKのチャンスを得たが、これは壁に当たってしまった。時間が前後するが、試合終了間際の94分には、決定的なチャンスが訪れたものの、楽勝ムードでモチベーションが下がったか、疲労で足にきていたか、もしくは右足だったからか。はずしてしまい、ゴールはお預けとなった。
だが、チームは後半も確実にチャンスをものにする。
78分ガオ・リンのゴール。
84分ムリキのゴール(ムリキはこのプレーでダイビングヘッドでゴールを決めたが、着地時に頭部をポストに打ちつけ交代.。心配である)。
采配においても、73分にこの日2ゴールのエウケソンを下げるなど、余裕のリッピ監督。結局、終わってみればアウェイでJクラブ相手に51で勝利という最高の結果だった。
これにより、来週広州のホームで行われる2ndレグでは、広州は5点差をつけられない限り、ベスト8進出が決まる。安心してベスト8進出をホームで迎えられることだろう。むしろ、目はすでにベスト8へ向かっている。これだけの点差があれば、中超も含めて、選手のコンディションや疲労を考慮しながらメンバーが組める。
胸のすくようなチャンピオンの堂々たる快勝だった。
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筆:小松英之 ツイッターはこちら
小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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