中国代表がW杯出場のために必要な強化は?
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。
アジア杯をベスト8で終えた中国代表。昨日の記事では総括を行ったが、今回は中国代表がW杯出場のために強化すべきことを考察する。
まず、W杯出場という最大の目標に向けて土台作りはできたということを認識する必要がある。中国メディアも報じていたが、中国代表のみならず、全中国のすべてのカテゴリーや年代の基盤となる中国サッカー協会は過去の負の遺産(八百長や極端な既得権益など)を粛正した。これがつまり土台作りだ。
これを認識したうえで、次に出来上がった土台はA代表の組織。特に守備の面で顕著だ。ぺラン監督就任から間もなく1年を迎えるが、アジア杯での中国代表の試合を見てもわかるように、全員がハードワークするようになった。それも、試合開始から終了まで。現代サッカーではもはや、メッシやCロナウドでもない限り、チーム内で守備放免を許される選手などいない。全員攻撃&全員守備は基本で、まして格下が格上に勝つためには、オフ・ザ・ボールの選手も含めて、とにかく走ることが求められる。それを植え付けたのがぺラン監督だ。若い選手を中心にメンバーを組んだのも正解だった。若い選手ほど適応力もあるし、監督もマネージメントしやすいからだ。
では、こうした土台の上で、W杯出場のために何を強化すべきだろうか。昨日も書いたが、アジア杯でアジアベスト8の国々へ挑戦できるところまできた。大きな壁はそこから。W杯出場のためには、今回まったく歯が立たなかった豪州はじめ、日本、韓国からも勝ち点を取らなければならない。そのために必要なこと、それはカウンターの精度を上げることだと考える。もっと漠然とした言い方をすれば、「個の力」となるが、それは当然のこととしてあえて外す。その上で、上述した国々に勝つためには、カウンターだ。今回のアジア杯でわかったことは、中国代表攻撃陣のスピードは通用する。豪州相手にも十分脅威となっていた。ただし、個のスピードは通用しても、チームとしてのカウンターはまだまだ通用していなかった。そこはチームとして底上げする必要がある。それに、カウンターといってもショートカウンターもあれば、一度スピードを落としてからの二次的カウンターもある。カウンターのバリエーションもいくつか持った上で、スピードを活かした鋭いカウンターで決定力をつければ、アジア上位の国からも勝ち点を取るチャンスがあるのではないか。
ぺラン監督がどのようなチームを作り上げてくるのか。ますます注目だ。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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