アジア杯ベスト8という結果は何だったのか?
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。
アジア杯8強 中国02豪州
グループリーグを3連勝で勝ち上がり、決勝トーナメント1回戦で敗退。最終結果はベスト8。
奇しくも日本代表と表面上は同じ結果になった今回の中国代表。この結果をどう総括すべきだろうか。
お隣日本がベスト8に終わったことは各国メディアでサプライズとして報道されたが、ところ変わって中国のベスト8に関してもサプライズ、しかも非常にポジティブなサプライズとして報道された。ここ数年の中国代表の戦績からすればそれもそのはず。グループリーグ敗退が大方の予想だったのだから。
一番のハイライトはやはりウズベキスタンを破った試合だろう。グループリーグ第1戦でサウジを破ったことや、その試合でGKの王がPKを止めたことなども盛り上がったが、10で勝利したこの試合のゴールはセットプレーからだったし、サウジは古豪のイメージが強く、むしろ第2戦、第3戦と続くウズベキスタン、北朝鮮とどれだけ戦えるかが注目ポイントであった。その第2戦ウズベク戦。まさかの勝利。しかも逆転だ。これで一気にチームも選手も国民も自信を持ったに違いない。そして周囲も見る目が変わった。「今大会の中国代表は一味違うぞ」と。しかも、ウズベクに勝ったことで第3戦を待たずにグループB首位での突破が決定。まさに飛ぶ鳥も落とす勢いだった。そこへ加えて、第3戦の北朝鮮戦。1.5軍で臨んだにも関わらず勝利。このころには、中国国内メディアはベスト8の対戦相手は豪州がいいか?韓国がいいか?という話題で持ちきりだった。
豪州とのベスト8はご存じのとおり02で敗戦。しかも、内容もまったく歯が立たなかった。だが、これこそが今回のアジア杯の最大の収穫であろう。つまり、アジアでベスト8以上の国々にはまだまだ追いついていない。だが、そこに挑戦できるだけの実力は取り戻した。これが今大会で見えた中国代表である。アジアベスト8以上の国々というのは、もっと言えば日本、韓国、豪州、イラン、イラク、ウズベク、UEAといった面々だ。今回のアジア杯ではウズベクに勝てたものの、実力的に中国がウズベクより上か?と聞かれればまだそうとは言い切れないし、W杯予選のようにホーム&アウェイではウズベクに軍配が上がる可能性が高い。なにせ、日本ですらウズベクのホームでは苦戦を強いられるのだから。
ともあれ、こうした真剣勝負の国際大会は、いずれの国も「現在の立ち位置」を測ることができる。日本は苦しい現実を受け止めねばならないが、中国はポジティブな現実を作り上げることができた。目指すはロシアW杯。このアジア杯で身に着けた自信と実績を胸に、今後の中国代表が更なる飛躍を遂げることを期待したい。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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