【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

韓国ではなく豪州でよかった?中国代表4強入りへの挑戦

※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。

アジア杯8強 中国vs豪州

いよいよ明日、中国代表がベスト4進出を賭けて豪州と対戦する。

当初、中国国内でも対戦相手は韓国という予測が多かったが、韓国がグループステージ最終節で豪州を下してグループAを1位で通過したため、グループB1位の中国はグループA2位の豪州と対戦することになった。

正直、組み合わせが決まった時、私は「豪州でよかった」と思った。中国国内では(豪州戦以外)グループステージでいいパフォーマンスを見せられなかった韓国のほうが組みやすいという論調もあるし、豪州は韓国と並ぶ強豪なうえに、今回はホームのアドバンテージがあるため、より一層、韓国との対戦を期待するといった論調だ。

だが、以下はあくまで私個人の意見であり、そして多分に個人の感覚が混ざっているのだが、はっきりって中国が韓国に勝てる気がしない。韓国はグループステージでパフォーマンスがよくなかったどころか、怪我人や体調不良の選手が続出し、満身創痍。だが、それでも豪州に勝利し、グループリーグを結局3戦全勝で勝ち上がってきたではないか。要するに、韓国の底力、韓国の地力、そういったものが中国にはまだまだ大きすぎる気がするのだ。アジアの雄として長らくW杯に出場してきたという歴史と伝統もある。そういう国は、大会初期に調子が悪くても、それでも勝つことができるという不思議な底力を秘めている。

それゆえ、私個人としては豪州のほうが組みやすいと思った。今大会の豪州は従来のフィジカルやロングパスを押し出したサッカーよりも、ショートパスでしっかりつないで、というサッカーも見せている。しかし、今のところ豪州のつなぎサッカーはそれほど脅威には感じない。それよりも、従来のストロングポイントを押し出してくるほうが脅威的だが、現中国代表ならそれを跳ね返して無失点にする力とフィジカルがあると感じる。また、豪州ホームではあるが、豪州の中国人人口は多い。実際、グループステージでも「ここは中国の都市か?」と思うほど中国サポーターがスタジアムに来ていた。これは中国に長年住んでいれば普通に感じることで、カナダや豪州への移民が驚くほど多いからだ。もちろん、豪州戦でどれだけ中国人サポーターがスタジアムに入れるのかは未知だが、少なくとも「絶対的アウェイ」の雰囲気ではないのではないか。いや、たとえスタジアムはそうでも、これまでにグループステージであれだけのサポーターがスタジアムに足を運んでくれたのだ。「この地には同胞がたくさんいる。スタジアムには来られなくとも、すぐ近くで応援してくれている」。これだけでも非常に大きい支えになる。

さらに、アラン・ぺラン監督の今大会での布陣や選手起用がはまりにはまっている。中国語で「アランの奇術」と呼ばれているくらいだ。しかしそれは、一歩間違えれば、はまらなければ実力差通りの結果にもなりかねない。そして、韓国のようなチーム、つまりハードワークを惜しまず、しつこく、粘り強く、無尽蔵に動き回る(今の選手層とコンディションでそれが可能かどうかは別として)チームに「奇術」は通じにくいような気もするのだ。それならまだ、豪州がパワープレーを仕かけてきてくれたほうがぺラン監督の「奇術」がはまりそうな気がする。

気がする、気がする、と感覚ばかりで書いてしまったが、こればかりは文字にするのは難しい。そもそも、実力的には豪州のほうが上。グループリーグを3連勝で突破したことが、すでに今大会の最大サプライズのひとつであろう中国が豪州に勝てば、グループリーグ3連勝以上のサプライズだ。それだけ実力差があるのだから、もう胸を借りて思い切りぶつかるしかない。もちろん、ぺラン監督の「奇術」をピッチ上でしっかり表現しながら。

中国代表のベスト4進出をかけた戦いは、明日。

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小松英之(こまつひでゆき)

サッカーコラムニスト。

サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。

【略歴】

静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。

【観戦経験】

英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシーマンチェスターC。

リーガ:バルセロナ

セリエ:ユベントス、ローマ。

ブンデスニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV

欧州CL:バルセロナベンフィカ

【中国Cリーグ】

中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。

08年 Cリーグ武漢光谷の日系企業スポンサー募集担当。

08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。

09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。

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