オフ期間の話題は移籍だけではない…買収案件も
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
重慶力帆に突如、買収話がわき起こった。
重慶力帆フットボールクラブは内陸部最大の都市、重慶にある自動車やバイクの製造メーカーである力帆社が母体のクラブ。昨季は2部に相当する中甲リーグで見事優勝。2015年シーズンの中超昇格を果たした。来季からいよいよ、今再びのトップリーグでの挑戦。サポーターもその心意気でいたことだろう。ところが…
まだ真偽は定かではないが、江蘇省の某大手国営企業が重慶の買収に乗り出しているという報道がある。せっかく来季のトップリーグ昇格が決まっているこのタイミングで、なぜ?と疑問は尽きないが、一説によると母体企業である重慶力帆社がクラブを手放そうとしているようだ。原因は同企業の経営悪化にあるらしい。
この報道を受けて、重慶市民らは重慶政府に対して、「わが町にサッカークラブを残して」と懇願するPR活動などを行っているが、重慶市内からは有力な引き継ぎ候補、つまり、力帆に代わってうちがクラブを引き受けましょう、と手を挙げてくれる重慶市内の企業が見つかっていないというのが現状のようだ。そんな中、現われたのが先述した江蘇省の大手国有企業だ。
こちらも真偽は定かではないが、すでに力帆社とこの国有企業との間では条件面ですでに折り合いがついているという。しかし、唯一の問題はホームタウン。重慶力帆社はクラブは売却するが、所在地は重慶に残してほしいというのが条件の一つだそうだ。しかし、買収する側としては、当然自分たちのホームタウン(江蘇省)にクラブを移設したいわけで、そこでまだ折り合いがついていないとのこと。
江蘇省にはすでに江蘇舜天フットボールクラブが存在しているため、買収が成立してホームタウンも移設したら江蘇省内に2つのクラブが誕生することになる。江蘇省にとってはいい話だろうが、しかし、中国全土のサッカークラブ所在地の分布バランスという意味では、果たしてこれがいいことなのかどうかは怪しい。重慶市民も地元クラブがなくなってしまうことは寂しいだろうし、沿岸部(江蘇省など)と内陸部(重慶など)の経済格差が広がっていることのシンボルになってしまうのも、あまりよろしくない。
この買収劇はまとまってしまうのか。
それとも重慶市内で新たな企業が出てくるのか。
注目したい。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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