加速する広州富力の補強!次はスペイン人指揮官!
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
スペイン/ルーマニアの二重国籍を持った元ヘタフェの指揮官が広州へ…広州富力が発表した。
コスミン・コントラ監督である。
同監督は選手時代はACミランやアトレティコ・マドリーでもプレー経験があり、さらに長らくルーマニア代表として活躍した。選手として現役を終えた後は指導者に転身。スペインとルーマニアのクラブで指揮を執っていた。今年3月には選手時代の古巣でもあるヘタフェの監督に就任。契約は2016年まである。にもかかわらず、なぜ広州富力の監督に就任したのだろうか?
諸説あるが、まず広州富力が同監督がヘタフェとの契約期間中であるにもかかわらず、獲得を熱望した背景がある。熱望の理由は報道がないので憶測するしかないが、まず他の中超クラブのように、話題性ある人事を富力も模索していたと思われる。シーズンオフのこの期間、来期に向けて、クラブのブランディング戦略として当然大切なのは移籍だ。しかも、話題になればなるほど来季へのチームの注目度は高まる。同じホームタウンの広州恒大などはそれ典型で、来季はリッピ総監督、カンナバーロ監督という体制を敷いてきた。もちろん、中国サッカーファンの間で注目度ナンバーワンの人事だ。このように、富力も何かしら話題性ある人事を、しかもできれば海外選手(もしくは監督)で作り出したかったのだろう。また、監督なので当然、チームづくりも重要な要素。特に、来季はプレーオフからながら、ACLに出場する富力としては、決して豊富ではない資金と人材で、いかに強いチームを作ることができるか。その課題に向き合える監督を模索していて、コントラ監督にたどり着いたのだろう。
また、一方で、コントラ監督はなぜ契約途中にも関わらず、富力のオファーを受けたのか。
こちらは報道が出ている。あくまで憶測であることを前提としているが、それは金銭面での魅力だ。一説によれば、富力は同監督にヘタフェでの給与の3倍を提示したという。しかも、スペインではサッカーは高収入業界。ゆえに個人の給与の所得税に対して累進課税制度が設けられており、26.3%一番多くて53%まで課税されるという。中国で監督を務めれば、当然これは適用されない。よって、中国とスペインでたとえ同じ額面の給与が支払われても、スペインではコントラ監督の手取りが大きく減ってしまうということだ。しかし、中国は個人所得税の税率がスペインより低いだけでなく、給与額も3倍…これもあくまで憶測であることにご注意を。
いずれにしても、広州富力は選手、監督ともに素晴らしい補強を進めている。これは、もしかすると、ACLも本戦に出場できるかもしれない。
楽しみだ。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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