年間最優秀監督賞・北京マンサーノ監督インタビュー2/2
先週末。
中超年間アワードが発表され、最優秀監督に就任1年目の北京国安・グレゴリオ・マンサーノ監督が選ばれた。
以下、受賞インタビューを掲載。 2/2
ーーあなたが北京の指揮を執り始めたとき、すでに中超リーグは始まっていました。あなたはどのようにして、短期間でチームをまとめあげたのですか?
「指揮を執り始める前から、クラブから選手の資料を送ってもらい、研究を重ねていた。そして正式に就任した際には、いち早くバタラ(14年2月に加入したアルゼンチンの助っ人)と契約を結べるよう努力した。短期間でチームをまとめ上げるには3つのポイントが必要だと思っている。一つ目は、選手の特徴をよく理解すること。二つ目は選手の特徴を理解したうえで、それに応じたサッカーをすること。そして一番重要な三つ目は、選手に戦術をはっきりとわからせたうえで指揮を執ることだ」
ーー指揮を執る中で、どのような困難に直面しましたか?
「ACLでサンフレッチェ広島と当たった時、戦術、テクニック、そしてフィジカルを融合させるのが大変だった。とにかく時間がなく、それこそが最大の敵だったんだ。それから選手に私の戦術を受け入れさせること、彼らのメンタルを変えること。それが一番困難だった」(中略)
ーー今シーズンを振り返って、個人的に一番難しかった試合はどの試合ですか?
「(少し考えてから)河南との一戦だね。ピッチコンディションに制約があって、我々の得意とするパスサッカーがまったくできず、試合をコントロールすることができなかった。その上、早い時間帯に先制点を決められてしまった。それから山東魯能との対戦だね。シーズン中の2試合とも先制されて、追いかける展開だった。結果的に2試合とも引き分けになったものの、山東には苦しめられた。それから…広州恒大との試合も簡単ではなかったが、先制される展開ではなかったから、少し意味合いが違うね」
ーー今シーズンより前の3シーズン、北京のリーグ戦における勝利数は14でしたが、今季は21でした。どこが変わったのでしょう?
「攻撃も守備も進歩した。攻守のバランスが取れて、失点数はリーグ最少、ゴール数はベスト3だった。この数値が我々の進歩を証明している。恐らく以前は1試合に5つのゴールを決めることがあっても、結果的に勝利数は14しかなかったのが、今季はゴールをすべての試合でまんべんなく取ることができた。だから勝利数も21まで到達することができたのだろう」
ーー中国で1シーズン通して指揮を執って、今、どのように感じていますか?
「中国にやってくる監督には2つのタイプがいる。ひとつは、ここのサッカーはこの程度、私は金儲けのためにやってきた、という監督。だが私は違う。ここへやってきたからには、自分のすべてをささげてトレーニングと試合に臨む。今の国安のレベルなら、スペイン1部の中から下位くらいのレベルだろう。今後も私は自分のすべてを注いでクラブを進歩させていくよ。中国にやってくるすべての有名監督が、金儲け目的ではなく、このリーグの進歩のためにやってきてほしいと願っているよ」
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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