日本人監督のクラブが経営難に…中超は貸付を拒否
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大連で指揮を執る倉田監督に危機だ。
大連は資金的な困難に陥っており、その打開のため、中超(リーグ組織)に分配金の前倒し支払いを求めたが、拒否されたのだ。
経緯はこうだ。
先日行われた中超のリーグ運営会議。その場で、大連クラブの社長が資金難を理由に、分配金の前倒し支払いを提案したのだ。だが、他クラブの社長から反対が相次ぎ、議題にすら上ることはなったという。
中超の分配金とは、毎年、年間スケジュールが終了した段階で、リーグが生み出した利益の中から、一部をリーグ参加クラブに分配する資金のこと。いわば、リーグの年間利益の一部を各クラブへ還元するということなのだが、大連は資金繰りが厳しいため、これを先に払ってほしいと提案したのだ。
中超が終了するのは12月で、分配金が支払われるのは、年をまたいで毎年2月くらいになる。これは、リーグ終了直後では、まだリーグの年間利益が確定しておらず、なおかつ、中国は旧暦で正月を祝うため、利益が確定し、旧正月が終わってから支払うというのが恒例化しているためだ。
各クラブが大連の申し出に反対した理由は単純明快で、利益金額が確定していないのに、どうやって分配金の金額を確定させるのだ、ということだ。それは確かにそうだ。だから大連も、あくまで概算や予測を元にした金額ということで申請したが、前例がない、ひとつのクラブにそれを許すと他のクラブも同様の権利を主張して収拾がつかなくなるなどの理由も加えて、反対。最終的には反対多数で議題にすらならなかった。
資金難は現場のモチベーションにも大きく影響する。選手は給料の未払いという不安を感じるし、来季はクラブが経済的理由から降格、もしくは消滅してしまうのではないかという不安にも駆られることだろう。そんな状況下で、モチベーションを高く保って戦い続けるのは難しいミッションだ。
奇しくも、大連、このクラブを今季率いているのは日本人の倉田安治監督。
どんな手腕を見せてくれるのか。大連は現在、勝ち点24で16クラブ中13位。15位と16位が降格圏で、15位の河南は勝ち点21。決して楽観できる状況ではない。クラブの経営難、戦力低下(昨年、同クラブは経営難を理由に主力選手を売却した)、そして降格の危機…今こそ踏ん張りどころだ。
倉田監督。ファイト!!!
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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