ミスで4失点のアギーレジャパン、その将来像は?
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日本22ベネズエラ。
この試合も日本はミスから2失点。せっかくリードを奪ってもミスで追いつかれる展開で勝利をものにすることは出来なかった。
先日のウルグアイ戦もミスから2失点して02で敗戦。試合後、アギーレ監督は「このレベル(ウルグアイ)相手だとミスがすぐに失点につながる」と語ったが、今回の相手はウルグアイレベルではないにも関わらず、同じく2失点してしまった。(もっとも、2失点目の川島の守備はミスの中の大ミスであったが)。
アギーレジャパンは今後、どうなっていくのだろうか。この2試合を通して展望してみたい。
まず見えたのは、まず守備ありきという布陣だ。アンカーの位置に森重を2試合連続で配置したところにそれが見てとれる。長谷部が復帰したらここは長谷部かもしれないが、いずれにしろ、アギーレジャパンにおいてはアンカーははずせないポジションだろう。しかも、アンカーを置いたうえで細貝を起用する。相手が日本より各上の場合は、アンカーがCBに吸収されてSBも合わせて5バックとなる。その必要がない場合は逆にアンカーがワンボランチのような形になる。
守備に重きを置いたうえで、攻撃はザックジャパン時代のようなポゼッションもしくはサイド重視よりはカウンターの回数が多くなるだろう。もちろん日本がボールを支配する状況ではポゼッションもするし、サイド攻撃もあるだろうが、ベネズエラ戦の前半11分に見せたような攻撃(カウンターからラストパスが本田に出るが、GKに阻まれる)が成熟すれば大きな武器となる。つまり、攻めてるときだけでなく、守りの時間帯が多い状態からでも、切れ味鋭いカウンターからゴールできる攻撃力がアップする。
武藤、柴崎というニューフェイスがゴールを決めたのは好材料だ。だが、もちろんこの二人は国際試合の「ガチンコ勝負」で、とりわけ世界の強豪相手のガチンコ勝負時に通用するかどうかはまだ未知数だ。そこはこの二人の実力というよりは、チーム内の連携の問題もあるだろうが、チームが成熟していく過程で、それでもコンスタントに結果を残せるようなら、かなり選手層が厚くなることだろう。
大迫もさすがのプレーだった。ポストプレー、積極性、つなぎ、ショートパス、ワンツー、枠内シュートなど、さすがのオールマイティぶりを発揮した。それに比べて残念なのは柿谷。GKとの1対1をはずしてしまった。だが、バーゼルでCLに出場するチャンスもある。欧州で1シーズン通して試合に出れれば、更なるレベルアップは間違いない。
いずれにしろ、この2試合の4失点はいずれもミスから。しかも、イージーミスだ。来年のアジア杯に向けて、まずはこのミスの減少をしっかりと行い、その上でCB吉田を中心として、その前にアンカーを置く守備重視の布陣からの切れ味鋭いカウンターを繰り出せる攻撃陣…これがアジア杯で見られるアギーレジャパンの姿ではないだろうか。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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