ペラン・チャイナの第2季は白星スタート…ホームでクウェートに逆転勝利
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この試合の位置づけは、「ペラン・チャイナ第2季のスタート」であった。
2014年3月、中国代表(男子)監督に正式就任したアラン・ペラン監督。
W杯が終了し、世界中でナショナルチームが一新されるこのタイミングを、中国代表は「ペラン・チャイナ第2季のスタート」と意義付けた。
その大事な初戦。ホームにクウェートを迎えた親善試合。ペラン監督は343の陣容で臨んだ。
中国代表のスタメンは以下だ。
GK:王大雷(山東)
MF:于海(貴州)、佳琪(大連)、吴曦(江蘇)、呈(北京)
上記スタメン選手の所属クラブ名を見てもらってもご存じのとおり、海外組がいない。このあたりが韓国や日本、オーストラリアとの大きな差だ。
注目は先日惜しくもACLベスト8で敗れた広州恒大から召集された新世代のストライカー、郜林。国内での人気も高く、また日頃からディアマンティやジラルディーニョといった選手とトレーニングや試合をしているということで、その貴重な経験をぜひとも代表にも持ち込んでもらいたいものだ。しかも、代表ではキャプテンを任されている。名実ともにチームの大黒柱だ。
中国代表の課題は明確。攻撃だ。深刻な決定力不足。攻撃陣の破壊力の無さ。それを改善するために、ペラン監督は343という攻撃的な布陣を敷いた。チャンスは何度も作れていたが、やはり決定打が出ない。そんなチームに対して、ペラン監督が指示したのが、「速攻」。とにかく速くシュートまで持っていく。相手にじっくりと守らせない。スペインやバルセロナのようなポゼッション・スタイルとは真逆を行く戦術だ。とにかく速くシュートまでもっていけ。前へ前へ攻めろ。そのために、A代表の練習時には「相手陣内に入ったら5秒以内にシュートまでもっていけ」と内容もあったという。通常時の攻めでも、ハーフカウンターのような考え方だ。
試合はホームの中国が31で勝利。大事な第2季出発のゲームをものにした。
前半35分。左からドリブルでPAに進入した于海が倒されて得たPKの場面。キッカーは当然、キャプテンでエースストライカーの郜林。勝利のためにのどから手が出るほどほしい先制点。その最大のチャンス。だが…相手GKに阻まれて先制点ならず。その後、前半のロスタイムにクウェートに先制点を許す嫌な展開に。
しかし、ペラン監督の攻撃力改善トレーニングが実を結んだのであろうか、後半から中国代表の怒涛のゴールラッシュが始まる。
53分。PA右からパスを受けた旭倚がGKの体の下をすり抜けるシュートでゴール。11の同点。
64分。霆からのパスをPA左で受けた于がゴール右隅に叩き込んで21逆転。
そして試合終了間際の90分。これまで何度もシュートを放ってきた武磊についにゴールが生まれる。GKと1対1の状況から冷静に決めて31。中国が勝利を収めた。
だが、課題も残った。ラフプレーで李学が2枚のイエローカードで退場。この辺りはまだまだ改善が必要だ。それに、PKをはずしてしまう展開。あれが決まっていれば、試合運びはもっと楽だったはずだ。
ともあれ、親善試合といえども、勝利できたことはポジティブ。
来年のアジア杯に向けて、いい「第2季」のスタートが切れた。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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