リッピ広州が敗れた原因は「●●」
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今日ばかりは興奮冷めやらぬうちに、というより、怒り収まらぬうちに、といったほうが正確だろう。
記事を書いてしまおうと思う。
ホームにシドニーを迎え撃った広州は21でセカンドレグを勝利。だが、2試合合計22のアウェイゴール差でシドニーに敗れた。
敗因は何か。それずばり、「ミス」である。いわば、自滅だ。
1戦目についてはここでは触れない。そもそも、シドニーは弱くないし、アウェイで10で負けることも十分ありうることだ。むしろ問題はホームで逆転できなかったこと。2試合合計で勝てなかったこと。アジアチャンピオンとして、監督にリッピ、外国人にディアマンティとジラルディーニョをもつチームとして、ホームでひっくり返して堂々の4強入りを果たさなければならなかった。いや、そうできる実力があるし、それだけに今日のホームの試合はいただけなかった。
ミスというと、前半のエウケソンのPK失敗、あるいは後半のGK曽誠のシドニーにPKを与えてしまったプレーを思い浮かべるかもしれないが、そうではない。これらは確かに試合において非常に重要な場面だったが、しかしながら、局地的なものでもある。問題は、もっと全体的な、総括的なミスだ。
それは「パスワークのミス」である。
圧倒的なスピードで相手を抜き去るムリキ、抜群のキープ力とパスセンスでキラーパスを出すコンカ。この二人が抜けて、ディアマンティとジラルディーニョというイタリア代表クラスが加入したリッピ広州は明らかに変わった。それは、ムリキ&コンカ&エウケソンの「外国人の個人技で点を奪うサッカー」から「パスワークで相手を崩して点を奪うチームワークのサッカー」へと変貌したことだ。事実、ディアマンティもジラルディーニョも個人技で相手を抜き去って点を取ることはほとんどない(特にACLの舞台では)。だがこれはいい変化だ。これまでの個人技頼みから、チームワークの中で個人技を生かして勝つ方向へと変換したのだから。
それが、今日の試合。特に前半。あれだけパスミス、しかも凡ミスが出て、リズムをつかめないようでは、広州は自分たちのサッカーはできまい。たとえホームであろうと。それでも、なんとかPKを獲得した。だが…
そして、この試合の敗因、つまり「ミスによる自滅」の象徴となってしまったのが、黄博文だ。
昨日のブログでも、鄭智と黄博文がどれだけ攻守の要となって前線の3人の外国人につなげられるか、ということをポイントに挙げた。鄭智はさすがの安定したプレーでボランチの位置からしっかりとキープして左右前後へとボールを散らしていた。だが…もうひとりの中盤の底、黄博文のところでは、ため息が出るほどのミスを連発。素人の私ですら「こりゃ後半は交代だな」と思っていたら、案の定、というか、予想以上に早く後退を命じられた。後半開始早々からだった。アナウンスがなかったので、後半メンバーがどう入れ替わったのかを確認するのに少し時間がかかったが、背番号16(黄博文)がいなくなっていることは、3分ほそで確認できた。ひとりの責任にするつもりはないが、黄博文の絶不調により、ゲームプランが大幅に狂ったことは確かだ。前半で昊が負傷交代したこともゲームプランを乱したが、怪我と不調とではわけが違う。
ということで、あまりにもミスが目立ち、天河スタジアムに集まった4万人のサポーターのため息がつきなかった試合。私も1/40000のため息を出しながら、この試合を見つめた。負けは負け。言い訳はできない。
シドニーにはぜひとも決勝へ、そして頂点へ登り詰めてほしい。
そして、広州には中超でしっかりと優勝を勝ち取って、来年、またアジアチャンピオンへ挑戦してほしい。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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