アジア勢がグループリーグで全敗。もし中国が出場したら…?
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※小松英之による日本代表23名の解説を音声で聞く
アジア最後の砦となった韓国がベルギーに敗退。
これにより、今大会、アジア勢はグループリーグで1勝もできずに、4チームがすべて敗退となった。
ここで、ベスト16の顔ぶれを見てみよう。
欧州はフランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、ギリシャ、スイスの6チーム。
南米は5チーム。ブラジル、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ウルグアイ。
中米3チーム。メキシコ、コスタリカ、アメリカ。
アフリカ2チーム。ナイジェリアとアルジェリアだ。
南米で行われる大会とあって、欧州勢が苦戦して、中南米勢が強い。そんな印象だ。欧州勢の中でグループリーグ敗退を喫しているのは、スペイン、ポルトガル、イタリア、イングランド、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ。もちろん、南米大会だけが原因ではないが、ビッグネームが敗退していることもまた事実。そんな中、アジアをどう見るべきだろうか。
特筆すべきは、アジア勢が0勝ということだ。これはどうにもしがたい。
ただ単に「善戦した」というだけでは、実力は見えてこない。スペインやイタリアだってグループリーグで去っていくのだから、アジアのチームがベスト16に上がれなくとも、世界的には納得かもしれない。しかし、FIFA的にはアジア枠の考慮の対象となるかもしれないし、アジアのサッカーファンとしては、1勝もできなかったというのは残念な限りだ。
しかし…
FIFAはさすがにアジア枠を「4」以下に下げることはないように思う。現在は「4.5」だ。その根拠は?といわれてもあくまで個人的想像でしかないが、まずはマーケティングの問題。アジアはサッカー界においても有力市場であるはずだ。アジア枠が減れば、その地域のマーケティングに影響する。アジアといっても広く、今回は日本、韓国の東アジア以外にオーストラリア(オセアニア)、イラン(中東)が参加している。この分布はある意味、FIFAのマーケティングにおいては理想的だったのではないか。たとえばの話だが、アジアの4枠が日本、韓国、中国、北朝鮮と東アジアだけに偏ったら、東アジア以外のアジア地域のマーケティングに影響しそうだからだ。
もちろん、スポーツ競技である以上、実力で競ってなんぼだし、その意味ではアジア枠を減らされても、文句は言えまい。ただ、FIFAというか、サッカービジネスがここまで巨大化してしまうと、もはや純粋な実力主義だけでは運営できなくなっているような気もする。中国のA代表が弱いのが残念だが、13億人いるこの国、しかも愛国心が強いこの国が出場したら、国内での盛り上がりは恐らく半端ないだろう。その半端なさは、なにも「熱狂」ということだけにとどまらない。マーケティングにおいてもだ。幸い!?まだ中国A代表がアジア予選を勝ち抜くには数大会という時間を経る必要があると思われるが…
いずれにしろ、アジアサッカー協会もこの事実を真摯に受け止めて、世界の中でアジアも躍進できるように、日本だけでなく、アジア全体の問題として捉えていってほしい。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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