質問にお答えして…Jは過密日程か?
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ついにてACLでチャンピオン広州が日本上陸。
横浜FMと対戦。アウェイで引き分けた。
日本の報道の中で「(横浜にとっての)価値ある引き分け」とまで書いていたメディアがあったのには驚いた。広州もそこまでいわれるほどになったのか、と。
昨日もCリーグのクラブについて書いたところ、ありがたいことに、ご質問を頂いた。この機会に私自身もしっかりと調べてみた。
まず質問はこちら。
「Jリーグのチームは日程的に不利という話をよく聞きますが、中国のチームは本当に日程に余裕があるのですか?」
なるほど。
確かにJは日程的に不利で、しかもJFAがACLを軽視しているのでは?などとまで言われている。今季のACLも相変わらずJクラブの成績は奮わない。これは、日程的問題なのか、それとも…
まず、JとCのクラブの年間スケジュールを考えてみる。
ここではACLに出場しているクラブということで考えるので、互いにJ1とCプレミアのスケジュールについて比較してみる。
まず、基本となるリーグ戦。
J1は18チームによる34試合。
Cプレミアは16チームによる30試合。
Jのほうが4試合多い。
次にカップ戦だが、これは一概には言えない。たとえばJのナビスコカップでは、ACLに出場するチームは予選リーグをシードされている。そのため、ACLのグループリーグを戦っているときは影響がないし、また天皇杯についても、J1クラブが登場するのは後半からだ。つまり、Jリーグが開幕して、ACLのグループリーグを戦っている間は、カップ戦の影響はない。一方Cリーグにもカップ戦があるが、こちらも、ACLのグループリーグをやっているこの時期は開催されない。つまり、カップ戦に関してはJもCも共にACLグループリーグの段階ではスケジュール的に影響はない。ただし、ACLを勝ち抜いていけば影響は出る。
また、この他にも代表戦がある。もちろんこれはA代表に召集されている選手を抱えているクラブが影響を受けることになる。
こちらも国際Aマッチデーは世界共通だから、条件は同じように思えるが、しかし、例えばブラジルW杯出場権を争ってアジア予選を戦い続けた日本代表と、アジア3次予選で敗れた中国とでは、同じ「代表マッチデー」でも状況は異なる。がちんこ対決と親善試合とでは選手のストレスや疲労も違うからだ。
こうして見てみると、ACLのグループリーグを戦っているこの時期は、ほぼ純粋にリーグ戦でのスケジュールの差が、両リーグのスケジュールの違いとなる。もちろん、サッカーの世界では毎年スケジュールが変更されるので、これまで、もしくはこれから、ずっとそうであるとは限らない。少なくとも今季の今の段階では、ということだ。
また、Jはウィークデーに試合を多くこなしているイメージがあったが、今季を調べてみると、第10節である4月29日の火曜日に試合があるが、それまでは週末の試合となっている。一方のCも同じで、第9節となる4月30日の水曜日が今季初めてのウィークデーの試合。それまでは週末である。ACLのグループリーグ最終戦が4月22日と23日だから、互いにACLに出場するチームのために、このスケジュールを考慮したのだろう。もっとも、Cの場合はチーム数がJより少なく、かつカップ戦もひとつしかないから、何もリーグ戦の前半時期に慌ててウィークデーの試合を開催する必要はない。
こうして振り返ってみると、ACLグループリーグを戦っている今この時期は、JとCのスケジュールに大きな差はない。もちろん、クラブにとっては目の前のスケジュールだけをこなしているのではなく、年間を通じてのスケジュールと試合数を考えてチーム作りをしているのだから、単純にこの時期のスケジュールだけでは比較はできない。
ただし、この時期にいきなり「Jクラブの試合数が多すぎて…」とは言えないことも確かである(少なくとも今季は)。
さて。
できるだけスケジュールを追って、その影響を考えて書いてみたが、見落としや他の影響はないだろうか。もしも、ご指摘いただければ、幸いです。
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筆:小松英之 ツイッターはこちら
小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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