【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【小松英之に聞く】日本敗戦のなぜ

イングランド・オランダ・日本・中国の各国の指導者ライセンスを所持するサッカースクール!

小松英之の連載がブログで紹介されました!

日本12ヨルダン

聞き手:武石信之

武石:引き分けでもW杯本大会出場が決まるという試合。しかし日本は敗戦してしまいました。

小松:敗因についてはいろいろなところで分析されてるし、すべてその通りだと思いますが、そのうえで、私が感じたことは、ヨルダンの「必死さ」「勝利への執念」が日本を上回ったからということですね。

武石:メンタル的な部分ということでしょうか?

小松:引き分けでもW杯が決まる、前回はホームで60で勝っている、実力的にも差がある、本田・長友はいないけど、換わって入る選手でもヨルダン相手なら十分に戦える…日本が「勝利への執念」を追い込むには、ちょっと状況が良すぎたともいえます。その部分で、ヨルダンが上回ったのではないか。

武石:一方のヨルダンは?

小松:オーストラリアが1試合少ないとはいえ、日本に勝てばヨルダンは単独で2位に順位を上げることができる。その上、ヨルダンはホームで、しかもあのスタジアムではオーストラリアにも、ベラルーシにも勝ってることから、自信があった。なんとしても勝ちたいという執念にこのスタジアムで強豪に勝ってきたという自信が、ヨルダンのメンタルに大きく貢献したことは間違いないでしょうね。

武石:小松さんはヨルダンの「勝利への執念」が表れたプレーとして、遠藤のPK失敗を挙げていましたね。

小松:あれは見事というしかないでしょう。遠藤も試合後に「自信を持って蹴った。コースも悪くなかった」って語っているように、止めるのは簡単じゃない。まるで、以前の日本代表の川口能活のような、神がかったセーブでした。ああいうプレーが出るというのは、もうとにかく勝利への執念が半端なく表れてるときですね。

武石:日本の失点についてはどうですか?

小松:あちこちで報道されてる通りでしょう。1点目はセットプレーから。とにかく取られた時間帯が悪かったですね。時計がないからかな?香川が前線に残っていた。明らかに、前半のラストプレーなんですけどね。それから、ゴールを決めた選手(バニアテヤ)のマークに行っていたのが岡崎だったんですね。ゴールが決まった瞬間のリプレーを何度か見て、「あれ?」って。あそこで岡崎が競りにいくっていうのが…代表のセットプレー時のポジショニングとマークがどうなってるのか、ちょっとよくわからないですね。

武石:2失点目はどうですか?

小松:イエローでも吉田には止めてほしかったですね。先に「勝利への執念」っていう話をしましたけど、象徴的なのは、ホームで判定に有利なはずのヨルダンがイエロー4枚もらってるんですね。日本はゼロです。もちろん、クリーンに戦っている証拠ですからいいんですけど、やはり勝ちたいという欲求が強ければ強いほど、プレーにも激しさが加わって、カードが出る確率が高くなりますから。吉田は「近づきすぎた」って言ってましたけど、確かに中途半端でしたね。ドリブルで抜かれるくらいに近くまで行くなら、イエロー覚悟で体ぶつけにいく、くらいがほしかったですね。そうでないなら、間合いを保って、時間をかけさせて、味方の戻る時間を稼いでほしかったですね。まぁ結果論ですが。

武石:香川の得点については?

小松:正直、「やっとか」って感じでしたね。やっと1点返した、と。何もそれは失点して以降ってことじゃなく、前半開始以降からずっとですよ。なんでシュートを打たない?なんで入らない?っていうフラストレーションがずっとあって、後半24分に「やっと1点入った」となった。これでは、選手も追い詰められますよね。得点したのに「やっと1点入った(まだ負けている)」ですから。ザック監督もハーフタイムに「決めるところで決めないと、負けてしまうぞ」と選手を怒っていたそうですが、まさに、って感じですね。

武石:その後、日本はPKを得ました。

小松:香川がゴール決めた後、すぐにボールを持ってセンターラインに戻りましたね。ああいう闘志をむき出しにする姿、久しぶりに見た気がしました。とてもよかったですし、しかも得点を決めた本人で、本田のいない日本代表におけるエースで、マンU所属の香川がそれを見せたということが追い上げムードを一気に盛り上げました。そして、その後すぐにPKのチャンスが。清武がザック監督の指示でポジションを右に移したのが功を奏して、内田がそれで高い位置を取るようになって生まれたチャンスです。

武石:そして、キッカーは遠藤。レーザー光線を当てられるなど、アウェイ独特の雰囲気でした。

小松:先述したように、PKをはずしたことについては、シャフィ(ヨルダンGK)をほめるべきですね。また、遠藤本人はレーザー光線は原因じゃないと言っています。ただ、あのアウェイの雰囲気の中で、PKを任されるというプレッシャーたるや、すごいですよね。PKを蹴る直前の遠藤を見ながら、「このプレッシャーの中で…」と、もういたたまれない思いでした。もしあの時遠藤がゴールの枠を捉えれなかったり、ポストに当ててたりしたら、「アウェイの雰囲気に呑まれた」「レーザー光線が原因か?」など、いろいろ言われたでしょうね。でも、しっかりいいコースに蹴った。やはり、相手の「勝利への執念」が、シャフィに神がかったセーブをさせたということなんでしょう。

武石:ともあれ、日本のW杯本大会出場は、次戦に持ち越しとなりました。

小松:6月4日ホームでオーストラリアですね。もう過ぎたことは仕方ないですから、ここに照準を当てるしかないですね。しかも、長谷部キャプテンもいっていたように、ホームで決められるチャンスですから。これまで日本はすべて、アウェイで決めてきましたからね。史上初のホームでの決定を、ぜひ決めてほしいですね。ましてや、相手はグループB最強のライバル、オーストラリアですから。勝って決めてほしいですね。

武石:そうすれば、我々のラジオ番組も始まります(笑)

小松:そうなんです(笑)。BEE Football Spiritさんからポッドキャストのお話をいただいて、でも「日本代表がW杯出場を決めたら、という条件で」と言われていましたので。ヨルダンに負けて、ラジオ番組もオーストラリア戦以降に延期になりましたもんね(笑)

武石:スタッフは、上海市内のスタジオをすでにブッキングしていたんです。勝つことを想定して。

小松:司会を担当予定の武石さんも、複雑な心境でしょうね(笑)

武石:そうなんですよ(笑)。しかし、まぁ、次での勝利を期待しましょう。小松さん、今日はどうもありがとうございました。

小松:こちらこそ、ありがとうございました。

小松英之(こまつひでゆき)

サッカーコラムニスト。

サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。

【略歴】

静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。

【観戦経験】

英プレミア:マンU(香川移籍後)、チェルシーマンチェスターC。

リーガ:バルセロナ

セリエ:ユベントス、ローマ。

欧州CL:バルセロナベンフィカ

【中国Cリーグ】

中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。

08年 Cリーグ武漢光谷の日系企業スポンサー募集担当。

08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。

09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。

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