【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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コラム:「Jのアジア枠と東アジア枠を大いに支持したい」

ヨーロッパではすでに存在している制度

Jリーグがアジア枠の検討を開始した。

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ヨーロッパではすでに同様のシステムが取り入れられている。

これは、アジア他国の選手にとっては大きなチャンスとなる。特に、韓国やオーストラリアといった日本と互角レベルの国よりも、実力的に日本より劣る国の選手にとってだ。

ブラジルやアルゼンチンの選手がヨーロッパに行ってプレーするときによく言われるのが、世界トップクラスのリーグで活躍することの栄誉と、報酬の高さである。

ご存知の通りヨーロッパの主要サッカーリーグは他国リーグと比べて移籍金や選手の報酬は桁違いだ。たとえば、ブラジルの選手が、国内リーグで大活躍しても、ヨーロッパで活躍するほどの報酬はもらえない。この報酬の高さがまた、選手のモチベーションになる。

Jリーグの報酬は魅力的

では、アジアではどうか。

Jリーグがヨーロッパ主要リーグに比べてその額が低いことは当然だが、例えばタイやベトナムといった国から見たらどうだろう。現在、すさまじい勢いで経済発展しているチャイナのCリーグにとっても、Jリーグ選手の年俸はかなり魅力的だ。

アジアの選手にとってヨーロッパ主要リーグでプレーするのはやはり難しい。難しい上に敏腕の代理人や、運などの要素も必要となると夢のような話になる。しかし、セリエAプレミアリーグではなく、Jリーグならどうだろう。もしかしたら自分でも…と考える選手がこれから必ず出てくることだろう。

Cリーグの選手で、例えば代表に選ばれるような選手にとってみても、日本でプレーするのは「報酬」の面から考えてとても魅力的だ。正確なデータが公表されてるわけではないのであくまで推測の域を出ないが、Jリーグ選手の年俸平均は新人選手で300万500万。チームでレギュラーになると、1000万を超える選手も。もちろんこれはクラブの財政基盤の強弱にも影響される。しかし、例えば浦和のような経営状態も安定したクラブで活躍すれば、高収入が期待できる。

「新人でさえ年俸300万ももらえるのか!」

この情報を聞いたらCリーグの選手は驚くかもしれない。300万といえば、単純に12ヶ月で割ると25万/月。日本ではこの数字は生活していくための最低限の収入かもしれないが、国によってはそれがとても高額になる、という状況は必ずあるはずだ。

お金の話ばかりで申し訳ないのだが、しかしプロ選手である以上、自分に支払われる年俸がクラブの自身に対する評価の一端であり、常に自分を高く評価してくれるクラブを探すのは欧州でも当然のこととなっている。

年俸は選手のモチベーション

そして、この高報酬への欲望は選手の高いモチベーションとなる。プロサッカー選手として、海外、しかもアジアの中ではトップレベルであるJリーグで活躍し、年俸も自国ではありえないほどの額をもらう。これが選手のモチベーションにならないはずがない。

アジア枠が決定すれば、必ず一攫千金、自国の英雄になることを夢見て多くのアジアの選手がJリーグを目指すであろう。もちろん、実力の伴っていない選手は淘汰されていくから、Jのクラブが実際に獲得を考慮するような段階の選手たちは選りすぐりのいいプレーヤーであるに違いない。そういう選手がアジア中から集まってくるとすれば、Jの底上げにもなる。

日本人選手もうかうかしていられなくなる。アジア枠以外から加入する外国人選手のほかに、アジア枠で選りすぐりのアジアの選手達が入ってくるからだ。俄然、ポジション争いは激しさを増し、出場機会を失った選手は移籍を希望し、それによって移籍市場が活発になる。多くの代理人がこれまで以上にJリーグに注目することになるだろう。この流れは、Jリーグの実力&盛り上がりを底上げしてくれるはずだ。

東アジア枠を提唱

そして、これは何もJリーグに限った話ではない。

現在検討されている項目に、日中韓の各プロリーグに「東アジア選手枠」とも呼べる枠を設置するというものがある。私はこれを大いに支持したい。

この東アジア枠とは、日中韓の3国間では自由に移籍ができる(外国人扱いされない)というものである。これが実現したときには、日本の選手がKリーグやCリーグに行って活躍するという光景も見られるはずだ。Jリーグではずっとベンチだったが、Kリーグ或いはCリーグへの移籍でレギュラーを獲得し、そこでの活躍が認められて日本代表に…なんて選手も出てくるかもしれない。

ともあれ、アジア枠にしろ東アジア枠(これはあくまで私がそう呼んでいるだけだが)にしろ、どちらも大歓迎されるはずだ。

もちろん、アジア枠には日本人選手の門戸が狭くなる、悪質な代理人の出現で移籍でトラブルが生じる(←これはかなりの確率で出てくる問題だとおもう)などのデメリットもあるだろう。しかし、そもそもメリットだけでデメリットのない制度など存在しないのだ。両者を天秤にかけたとき、やはりアジア枠は実現してほしい制度である。

もしかしたら、今Cリーグで活躍している選手の中で、近い将来アジア枠でJに移籍し、大活躍して、アジアで名を馳せるような選手が出るかもしれない。

今のうちにサインでももらっておこうかしら…

筆者紹介:

小松英之(こまつひでゆき)。静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。中国のプロサッカーリーグであるCリーグの観戦多数。

また、中国女子サッカー代表の監督を務め、現在Cリーグの強豪・山東魯能でコーチを務める張海濤コーチとは、家にも行ったことがあるほどの仲。現在同コーチはドイツのケルンFCにてコーチ留学中で、ドイツでのコーチ留学の状況を聞けるなど、貴重な交流を重ねている。