【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【連載】People with Yuto中村祐人と共に6/8

People with Yuto中村祐人と共に

Person 04 中村萌加さん

Interview 1 of 2

いよいよ最後の人物、四人目の登場だ。他の誰でもない、中村祐人選手を日々支え続ける奥様である。

ジュニア・アスリート・フードマイスターの資格をもち、身体が資本のプロアスリートを日々支える人物。ここを抜きにして中村祐人の真相には迫れない。そんな思いから実現したインタビューである。

—まずは、現在行っているという、グルテンフリーについて聞かせてください。グルテンフリーを始めたきっかけは何だったんですか?

中村「一冊の本です。テニスのジョコビッチ選手が書いたもので、日本に帰ってたときに、特別興味があったわけでもなかったんですが、なんとなく手にとって、香港に戻る飛行機の中で読んでみたんです。それで、これやってみようかなって思ったのがきっかけです」

—そうだったんですね。

中村「以前、テレビでジョコビッチ選手の試合を見ていて、すごいなと思ったことも理由のひとつですが、昨シーズン、『身体が重い』って祐人が言っていて。ウェイト系のトレーニングが多かったっていうのもあったのかもしれないですけど、身体のキレを戻せば、彼本来のプレーができると考えて、何か結果が出ればいいなと思って。最初はお試しということで、2週間だけやってみました」

筆者注:グルテンフリーとは、小麦や大麦あるいはライ麦、オート麦などの麦類に含まれているたんぱく質の一種であるグルテンを摂取しないようにする食事こと。アレルギーのない人でも、グルテンが胃や腸に蓄積されると消化に時間がかかり、スポーツ選手にとってはパフォーマンスが低下するひとつの原因ともされている。

—でも、実際には麦を使った製品を抜いて食事を作るというのは難しいですよね?小麦がだめならパンや麺類もだめですし。

中村「はい。パン、うどん、そば。それからふりかけやお醤油、ケチャップなんかの調味料にも麦は使われているので、かなり制限されます。今はだいぶ慣れてきましたが、最初に始めた2週間は、お買い物の際に一つひとつ成分表示を見ると、ほとんど麦が使われているので…特に調味料まで気にしだすと、大変ですね」

—最初は2週間のお試しで始めたのが、現在も続けているということは、効果があったということなんですね?

中村「私は本人ではないので、身体のキレがどうなったかはわからないですけど、2週間で体重は4kg、体脂肪率が3%落ちましたね。ジョコビッチの本にも、まずは2週間やってみてと書いてあったんですけど、やはり変化がありましたね。本人も身体が軽くなったっていってました。それがグルテンフリーのおかげなのか、単純に体重が落ちたからなのかはわかりませんが、それなら続けてみようってことになって。今はもう半年になります」

—半年になるんですね。

中村「試合を見ていても、天候などにもよりますが、(グルテンフリーを始める)以前は6070分くらいで疲れが見えて走力が落ち始めていたのが、最近はその時間帯で疲れが見えても、足はしっかり回転している感じがしますね」

—でも、まずはやってみようと思ったとしても、食事は毎日のものだし、それまでの習慣もあるし、買い物の制限も出てくるし、実際に行動に移して継続することって大変なことですよね。それをしっかり継続してやっているというのは、すごいことだと思います。

中村「グルテンフリーに関しては、本当にひらめきがありましたね。それ以前も、もちろん栄養バランスを考えた食事は作っていましたが、ちょうど新シーズンが始まるタイミングでしたし、自分の中で今後の食事法の指針となるものがほしかったんです。指針ができれば、今後、どんなチームに行っても、どんなコンディションになっても、その指針から足したり引いたりしてアレンジすればいいわけで、そういう何か根本となるものを定めたかったというのはありますね」

—では、今は食事法が定まった、と?

中村「定まりましたね。それから今シーズンは中村祐人の管理ノートを毎日付けているんです。その日の朝の体重と体脂肪、それから何時に何をどれくらい食べたのかを明確にするために、献立も書いています。マッサージを受けたら、それも記録しています」

—そのノートを見返して、参考にしているんですか?

中村「そうです。たとえば、本人が調子がよかったという試合があれば、その試合前1週間の献立を参考に次の試合までの食事を作ってみたり。これまでの経験から私が得たものは、手をかければ、かけた分だけ、身体は素直に反応するんだということです。なので、今季はグルテンフリーと、管理ノート。このふたつを始めたことがとてもよかったですね」

—それから、もうひとつ、私がいつも気になっていたのは、試合直後に、中村祐人選手はいつも、おにぎりを食べているんですね。あれは、目的があってやってらっしゃるんですよね?

中村「はい。スポーツをしたときに、人間は体内のたんぱく質と糖質をエネルギーとして消費します。それを、運動終了後の30分間でいかに補うのかによって、体力の回復、疲労回復、また、その後に取る食事の栄養の蓄積のされ方が変わってくるんです。そのために、試合が終わったらおにぎりとプロテインはすぐに摂るようにしています」

—やはりそうですか。実は、あの世界的名将、ジョゼップ・グアルディオラ監督も、選手には試合後すぐにサンドイッチなどの軽食を取らせるそうです。同じ理由ですね。

中村「サッカーは90分間走り続けるスポーツなので、1試合での体重の減りも大きいですから、それも想定して、お米の量を調節しています」

—中村祐人選手もプロフェッショナルなら、それを支える奥様もプロフェッショナルなんですね。グルテンフリーひとつとっても、それを毎日やり続ける奥様のモチベーションがすごいですね。

中村「私の場合は使命感ですかね。プロのサッカー選手としてとしてやっている以上、辛いことが多いのは当然。その辛さを、食事を作ってコンディションを助けることで、少しでも軽減させることができれば、という思いでやっています」

続く

聞き手:松本忠之

※今回、特別に奥様より実際に中村祐人選手が食べたという、試合前1週間のメニューを画像でご提供いただいた。奥様いわく、「基本的に週はじめは本人好きな食べ物(揚げ物などの高カロリーなメニュー)を作り、試合に向けて油が少なめで糖質中心の食事に変えていく」とのこと。ちなみに、パン粉も米粉のものを使っているので、揚げ物もグルテンフリーだという。