【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【連載】People with Yuto中村祐人と共に4/8

People with Yuto中村祐人と共に

Person 03 黒木俊博

Interview 1 of 2

次にご登場いただくのは、黒木俊博氏。中村祐人が全面的に監修する香港のサッカースクール「B.P.D Football Club」の代表者だ。黒木氏は香港日本人学校OBでありサッカービジネスのプロとして、代理人業、クラブコーディネイト、さらにはシティズンフットボールクラブの公式通訳など、多岐に渡り香港サッカー界で活躍。香港・日本でのサッカーを通じた進路相談や、得意な語学を生かしサッカーの枠を超えた様々なフォローアップを行っている。

「B.P.D Football Club」

—まずは、サッカースクールを一緒にやることとなったきっかけを教えていただけますか?

黒木「最初からスクールとして出発したわけではなく、ある日、私と彼(中村祐人選手)の共通の知り合いから、子供にサッカーを指導してもらえないか?と頼まれて、遊びに行ったことがあったんです。そこから構想が生まれました」

—構想から実現までは、どのような経緯でしたか?

黒木「2013年の秋くらいに、翌年の9月くらいには立ち上げたいね、という話はしていました。しかし、結果的にそれが早まることとなりました」

—その理由は?

黒木「AET杯と呼ばれる、香港で旧正月に行われるカップ戦です。当時、彼が所属していたシティズンがその大会で優勝して、ナカムラの名前が香港サッカー界で一躍有名になったんです。それで、スクールを立ち上げるなら、このタイミングではないか?となったんです」

—そういう経緯だったんですね。スクールはお二人がメインになって運営されているようですが、中村祐人選手と黒木さんの役割とは?

黒木「彼は指導面の総責任者であり、コーチです。すべてのカリキュラムも彼が決めます。私はそれ以外の部分を担当しています。立ち上げの段階で彼をサポートしたり、生徒を集めたり」

—どのようなコンセプトのスクールですか?

黒木「現役のプロサッカー選手が教える、というコンセプトを大切にしています。そこを子供たちに伝えていきたい。そもそも根本にあったのは、僕自身の子供時代の経験にあるんです」

—といいますと?

黒木「僕は子供の頃、香港でサッカーを始めたんです(黒木氏は小学校時代の3年間を香港で暮らした)。それで日本に帰ってから、地元のチームに入ったんですが、香港でサッカーをしていた僕は、日本でサッカーをしていた同年代の子供たちにまったくついていけなかった。日本の子供たちのほうが断然レベルが高かったんです」

—そうだったんですね。

黒木「その状況はスクールを立ち上げた時期も変わっていませんでした。だから、僕の思いとしては、香港でサッカーをしていた子供たちが、日本に帰っても苦労しないようにしてあげたい、ということなんです」

—そういうコンセプトや思いがあって生まれたスクールなんですね。スクールでの中村祐人選手はどんな感じですか?

黒木「純粋にサッカーの指導を楽しんでいる感じですね。それから、子供たちへの『サッカーが上手くなってほしい』という思いに満ちています」

—先ほど、カリキュラムは中村選手が決めるとありましたが、指導内容について黒木さんはどう感じていますか?

黒木「基本的な技術を高めるということに重点を置いていますね。ひとつひとつ、基本的な技術の質を高めるということに、すごくこだわっているように思います」

—具体的には、どんな練習を?

黒木「止めて蹴る。トラップやパスなど、本当に基本的なプレーの練習です」

—生徒さんたちの年齢層は?

黒木「小学校三年生から五年生です」

—スクールの子供たちからは、中村祐人選手はどのように見られているのでしょうか?

黒木「とても慕われてますよ。彼と子供たちの間には壁がないんです。現役のプロ選手とはいえ、スクール内では決して遠い存在ではない。とても近い存在です」

—そうなんですね。

黒木「そもそも、スクールでは子供たちは彼のことを、さん付けで呼んでいますしね」

—えっ!中村コーチ、とかではないんですか?

黒木「はい。ゆうとさん、です」

—それは、あえてそうしてるんですか?

黒木「いえ。元々彼がそういう環境でサッカーをしてきたらしいんですよ。コーチのことも、さん付けで呼ぶという。だから、自然とそうなったんだと思います。僕も最初は違和感ありましたけどね」

—現役選手がコーチで、子供たちからさん付けで呼ばれてるサッカースクール。とても珍しいですよね。

黒木「そうですね。特に現役選手が教えているといのは、日本でもなかなかないと思いますよ。元プロ選手が教えるスクールはたくさんありますが。世界的に見ても珍しいかもしれませんね」

—スクール内でそういう雰囲気を作り出せているのは、中村祐人選手のパーソナリティーに拠るところもあるのでしょうか?

黒木「ありますね。彼は人間として、とてもまっすぐなんです。まっすぐだし、素直。だから、こう言っては語弊があるかもしれませんが、子供たちからしたら、大人というよりも、友達のような感覚があるのかもしれませんね」

—すごいですね。香港サッカー界でスター選手であるにもかかわらず、スクール内では子供たちに壁を作らず、距離も近く、まるで友達のような感覚にしてしまう。中村祐人選手のパーソナリティがよく表れていますね。

黒木「プロ選手としての彼の姿を見ていても、サッカーに取り組む姿勢が本当にまっすぐで、真摯なんですよね。そこは本当にすごいと思います。彼は『プロのサッカー選手とはね…』などと口で語るようなタイプではなく、自身の姿勢で示すタイプの選手なんです」

—なるほど。

黒木「それに、本当にピュアな人間性を持っています。こんなに純粋な大人はなかなかいないのではないですかね」

続く

聞き手:松本忠之