アジア杯の英雄GKが嗚咽「足りない部分多すぎる」
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。
また、香港プレミアリーグについては「香港超級聯賽」と記します。
「我々には足りないものが多すぎた。全北はチャンスをものにする力が我々よりも強い。チャンスは我々にもあったのに…」最初は涙をこらえていたGKの王大雷(アジア杯中国代表正GK。サウジ戦でのPKストップなど活躍した)。だが、最後はこらえきれずに嗚咽をもらした。
結果は惨敗。ニュースとしてはまさかの大敗という風に映る。しかし、試合を観戦したものならば、必ずしも驚きの結果ではない。私もそのひとりだ。
この試合。山東はホームだというのに、まったくホームチームらしくなかった。その原因は2点ある。
1、中盤でのイージーミスが多すぎた
2、全体が間延びした
まず1だが、こればかりは集中力の欠如というほかない。あれだけ中盤でイージーミスが多いと攻撃のリズムも作れないし、ポゼッションもできず、また相手を助けてしまう。全北にとってはやりやすい試合だったの違いない。自分たちでボール奪取にいかなくても、相手が勝手にミスしてボールをくれるからだ。その余裕が全北に大量得点を与えてしまった遠因であると私は見ている。
次に2。DFラインの押し上げが驚くほどなかった。これが今季の山東なのか?いや、それにしてもひどい。いくら前線はタルデッリ頼みとはいえ、あれだけFWとDFに距離があると、効果的な攻撃はできない。波状攻撃もできない。そして最も恐れていた展開、つまり頼みの綱のタルデッリが不在の場合だ。この試合でも後半10分の時点でひざの怪我で負傷交代。その後に同点に追いつくも、上記1と2の課題は克服されず、2失点目をしてから一気に崩れた。これは中超を戦うだけなら2でも通用するが、ACL、ましてKやJ相手では通じまい。
クラブはこの大敗を受けて、試合後、すぐに「謝罪」を公式SNSで発表するという異例の対応に出た。それほど、山東にとって衝撃的な、ショックな、ファンを失望させる結果だったということだ。
切り替えるしかない。引きずっても仕方ない。そして、タルデッリの怪我が深刻でないことを願う。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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