【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

歓喜と失望が同時に沸き起こった万博スタジアム

※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。

また、香港プレミアリーグについては「香港超級聯賽」と記します。

万博記念公園競技場にて今季のACLガンバ大阪vs広州富力を観戦した。結果は2-0でアウェイの広州富力が勝利した。

試合内容は方々で報じられているため、ここでは省くが、広州富力としてはしてやったり。なにせ相手はJの昨季三冠チーム。長年、広州恒大以外はJとKの壁に阻まれて決勝トーナメント進出を逃しているCクラブとしてはまさに拍手喝采の大快挙だ。私はアウェイ席で観戦していたが、試合開始直後は寒いスタジアムの閑散としたアウェイ席で声援もまばらだったのが、先制点が生まれると一気にボルテージがアップ。2点目を奪って勝利を確信すると、今度はJ三冠王のホームスタジアムとは思えない余裕すら感じさせたサポーター席だった。

長年、中超を見てきたものとして、この勝利は当然嬉しく、サポーター席でも前後左右の中国人サポーターたちと大いに盛り上がらせてもらったのだが、その一方、なんともやり切れない気持ちも沸きあがってきた。私はガンバのサポーターではない。清水サポーターだ。だから清水以外はより中国のクラブに感情移入できるのだが、ガンバは別だ。それは遠藤や今野がいるからでも宇佐美がいるからでもない。ベンチ前で時折指示を送りながらも、腕を組んで立ちすくんでいた(ように私には見えた)長谷川健太が監督だからだ。我らが故郷が生んだスター選手はカズやゴンだけではない。まして清水サポーターにとっては言わずもがな。ちびまる子ちゃんにも登場する健太はまさにレジェンド。しかも監督としても三冠という偉業を成し遂げた(それが在阪のクラブなのは残念だが)。そんな健太監督が率いる三冠王者がホームで広州に完敗。しかも広州は広州でも恒大ではなく富力に!やがて、そのやり切れない思いは失望に変わった。いくら中国クラブに肩入れしているとはいえ、やはり日本人。J王者がホームでここまで情けない試合をしているのを見せられるのは、やはり失望だ。

もちろん、まだ一試合終わったばかり。グループステージ突破はこれからにかかっている。ガンバ側にしてみたらまだ開幕前、今季初の公式戦など、いろいろ理由はあろう。実際、広州富力プレーオフを戦ってきたから、すでにシーズンは始まって、実戦も経てきた。ただ、やはりそれでもJクラブ、まして王者、さらに三冠チームなら、堂々たる試合内容で勝利してほしかった。その上で「開幕前だから思うようにプレーできなかったけど、しっかり勝ち点3が取れてよかった」くらいのコメントが欲しかった。何度もいうが、相手は恒大ではない。富力の広州なのだから。

Cクラブのアウェイでの快勝と、故郷のレジェンドが率いるJ三冠王の完敗。歓喜と失望が同時におとずれた、なんとも複雑な心境の観戦であった。