単なる降格だけではない悲惨な現状…大連
倉田監督が率いて、最後の最後まで残留争いを続けたものの、あえなく降格。そんな憂き目にあってしまったかつての中国のサッカー王国、大連。だがその悲惨さは何も降格したということだけにとどまっていない。
まずは給与の遅配。なんとシーズンの半分しか支払われていないという。親会社の経営が原因だ。要するに、資金が足りないのである。さらに、来季の監督は未定。来季の登録選手も未定。来季の新戦力などは言わずもがな。まさに踏んだり蹴ったりである。
中国ではトップリーグを「中超」、その下が「中甲」である。「超」は超級で「プレミア」の意味。甲は日本でも「甲乙丙」とランク付けする単位があるが、それと同じである。つまり、大連は今年、中超から降格し、来季は「中甲」で戦うこととなる。
大連市長がこのチームを見放さないといってニュースになっていたが、かといって別に政府が資金援助するわけではない。喫緊の課題は大連市政府も含めて、スポンサー企業を探して、まずは選手に給与を払うことだ。そうでなければ、彼らが浮かばれない。
広州恒大の存在感で中超は華やかにも見えるが、決してそれだけではないことを大連は物語っている。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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