【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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中国やはり超えられなかった日韓の壁

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※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。

あぁ…

今季も超えられなかった日韓の壁…

昨季チャンピオンの広州は格別だから除くとして、それ以外の3チームの結果に中超の躍進がかかっていた今季のACL。だが、早々にグループリーグ敗退が決まってしまった貴州以外に、最終節まで可能性を残していた山東と北京が最終節で破れ、結果的に広州のみがグループリーグ突破となった。

心底悔しい。

あともう一歩のところまで来ていたのだ。

広州天河スタジアムで広州が横浜に勝利し、無事に決勝トーナメント進出を見届けたとき、すぐに思ったのは山東だ。山東が最終節、ホームでC大阪に勝てば、ACL史上初の「中国ダービー」がBEST16で見られる可能性があったからだ。だが最終節、山東C大阪にまさかの逆転負け。1点をリードして迎えた後半、立て続けに柿谷、フォルランにゴールを許し、そのままタイムアップしてしまった。

悪い癖が出たように思う。もっと必死になっていいのではないか。もっとそれがピッチ上に表れていいのではないか。決勝トーナメントに行きたくないのか。ホームで負けたくないのではないのか。Jのクラブに大勢のサポーターの前で負けるのは悔しくないのか…そう思うと、もっと必死さが出てもいいと個人的には思う。しかし、なんとなく淡々と(普段の中超よりは必死だっただろうが)過ぎていったような印象だ。むしろC大阪のほうが、「何が何でも」という雰囲気が出ていた。アウェイだが「逆転してやろう」という気迫が感じられた。ピッチ上のリーダー不在…先週の記事で振り返った弱点が出ていた気がする。

先週の記事はこちらから

そして北京。

こちらも最終節アウェイのFCソウルを12で落とし、グループリーグ敗退が決まった。もっとも、こちらはくじ運に恵まれなかった要素も若干ある。広島、そしてFCソウル。かたやJのチャンピオンであり、かたやACLの経験豊富なKクラブ。実力的に北京と大きな差があるとは思わないが、どちらも「曲者」。土壇場になると、やはり軍配はJやKにあがる。そんなイメージ。結果的に、やはりこの二つのクラブの後塵を拝することとなってしまった。北京は実力的には山東より上で、中超BIG4の中で広州に次いでグループリーグ突破が期待できるチームであった。しかし、その北京でもだめだった…実に悔しい。

山東のいるグループEは1位浦項、2位C大阪

北京のいるグループFは1位FCソウル、2位広島。

こうして結果だけ見てみると、またしても中超クラブはJとKに阻まれていると感じざるを得ない(実力的にそもそもグループリーグ突破が難しそうな貴州は除く)。事実、結果がそうだから仕方ないのだが、負け惜しみではないが、長年味わってきた「JとKの壁」にも、風穴を開けることができたのが今季のACLではなかったか。私はそう思った。どういうことか。

それは直接対決の成績だ。

山東

浦項…1敗1分

C大阪…1勝1敗

北京

FCソウル…1敗1分

対広島…2分

ともにKクラブには勝利を取れていないものの、2位通過を考えれば、1分を奪っているだけでもまだいいほうだ。そして注目すべきは対Jクラブ。C大阪も広島も2位通過したわけだが(広島のFCソウル戦での疑惑の判定についてはここでは触れないが…)、こちらに関しては山東は勝ち点3を奪っているし(しかもアウェイで3点奪っての勝利)、北京も広島とまったくの五分だったのだ。

そして、グループリーグの戦いを振り返ったとき、ポイントとなる試合があった。その試合の結果によっては、2位の位置に中超クラブがきていてもおかしくなかった。

山東の場合は第5節のブリーラム戦(アウェイ)。ここで勝ち点1でも取れていれば…だが結果は敗戦。最終節、ホームでC大阪と戦った山東だが、私はそのときの記事で「たとえ最終戦をホームで戦えるとしても、正直、山東C大阪に勝てるという保証は大きくないから、このブリーラム戦が重要である」といった趣旨のことを述べた。実際、山東は第5節を落とし、そして最終節、ホームのC大阪戦も破れたわけだ。最後の2試合で2連敗してのグループリーグ敗退。やはり第5節のブリーラム戦での敗戦が痛かった。

そして、北京の場合は広島との第5節だ。勝てた試合だった。2点を先制したのだから。しかも、北京の場合、開幕戦でまず広島に乗り込んでの試合だったが、中国国内の論調としては「ここは引き分けでいい。首都に広島を迎えての試合なら十分勝てる」というものだった。広島での開幕戦を実際に引き分けて迎えた第5節。ここで広島をたたいておけば…しかし、石原に2点取られた(2点目はオウンゴールでもあったが)。あれが痛かった。

こうして振り返ることで、JとKの壁に、風穴をあけることができたといえるのではないだろうか。もちろん、ACLは4チームで争われるから、タイや豪州のチームとの戦績も大切なのだが、結局グループリーグを突破したクラブは、合計8チーム中、Jクラブ3、Kクラブ3なのだ。残りの2枠は広州とWシドニー。やはりJとKの壁に阻まれた形だ。

かくなる上は、広州にすべての望みをかけるのみ。

昨季チャンピオンはコンカが抜けてディアマンティが来た。だが、このイタリア人選手がチームに馴染むまでにはもう少し時間がかかりそうだ。2年連続チャンピオンになるためには、このディアマンティのチームへの順応度と、けが人の復活が重要なポイントとなる。

リッピ広州が、全中超ファンの期待を背負って、決勝トーナメントを戦う。

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筆:小松英之 ツイッターはこちら

小松英之(こまつひでゆき)

サッカーコラムニスト。

サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。

【略歴】

静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。

【観戦経験】

英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシーマンチェスターC。

リーガ:バルセロナ

セリエ:ユベントス、ローマ。

ブンデスニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV

欧州CL:バルセロナベンフィカ

【中国Cリーグ】

中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。

08年 Cリーグ武漢光谷の日系企業スポンサー募集担当。

08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。

09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。

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