【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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【横浜はくもりの中出航 -2011J1展望-】コラム:クアットロディチ第十五回(完)

イングランド・オランダ・日本・中国の各国の指導者ライセンスを所持するサッカースクール!

小松英之の連載がブログで紹介されました!

 昨シーズンはFW小野裕二ら、次世代を担う若手が成長した横浜M。特に小野はまだ18歳ながら今季は「10番」を背負うことになり、先日のU22中東遠征のメンバーにも飛び級で選ばれるなど、その才能はズバ抜けている。その他にも才能あるタレントを抱えているクラブが「若手路線」にシフトするのも分からなくもない。

 しかし問題はあまりに改革をドラスティックにやりすぎた事だ。はっきり言って今回のようなやり方は「ベテランを無視して若い才能に賭けてみよう」と言っているのと同じだ。 ベテランを無視して成功した例を筆者はあまり知らない。

 俊輔はこうコメントしている。「(同じようにベテランを大量解雇して残留争いを強いられることになった)01年の時みたいにならないといいけど」

 当時23歳だった彼は「本当の意味での修羅場」を経験したことがなかったのかも知れない。残留争いは心と心の削りあいだ。テクニックがいくらあっても、最後はメンタルが強くなければ、それに押しつぶされてしまう。降格圏と残留圏内の間に引かれているラインはある意味、天国と地獄の分かれ目だ。周囲からの期待、プレッシャー、メディアからのバッシング、「名門」を降格させてはならない、という責任、「10番」のプレーヤーが果たさなければならない役目。 目の前の敵だけでなく、”見えざる敵”とも戦わなければならなかった。

 あの時は何とか水際で残留を果たした横浜M。その後、日韓W杯メンバー落選、レッジーナ(イタリア)、セルティックスコットランド)、エスパニョール(スペイン)と3カ国でプレーしてきた俊輔。今や押しも押されもせぬ「ミスター・マリノス」はこの男だ。

 今、自身がベテランの価値、重要性を分かっているからこそ、それをあっさりと切り捨てるクラブの方針に疑問を感じざるを得ないのだろう。

 と、このように横浜M自体にスポットを当ててみるとひどく切迫した雰囲気を受けるが、「予想と現実」は違うものだ。例えば、昨シーズンJ2へ降格したFC東京は開幕前、多くの専門誌などでは優勝候補にすら上げられていた。開幕前の予想などアテにならないという証明であり、何が起こるか分からないのがサッカーの魅力であり、また怖さでもある。

 開幕戦は敵地で昨年度王者の名古屋とドローとまずまずのスタートだった。しかし、現在の横浜Mは天気で表すなら曇り空、と言ったところだ。先行きは不透明で、明るいニュースはない。だが、タレント力のある選手は揃っているのだ。降格圏にさ迷うのか、予想を覆し上位争いをするのかは全ては自分たちの手にかかっていると言えるだろう。まだまだ不安材料はぬぐえないが、「勝利」それが全てを解決する。

 12月3日、日産スタジアムの横浜は晴れているだろうか。

(完)

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