稲本選出を考える日本代表
日本サッカー協会は25日、2010年南アW杯アジア最終予選第1戦のバーレーン戦(9月6日マナマ)に臨むメンバー20名を発表した。
<バーレーン戦招集メンバー(25日発表分)>
GK:
川口能活(磐田)
楢崎正剛(名古屋)
西川周作(大分)
DF:
中澤佑二(横浜FM)
高木和道(清水)
田中マルクス闘莉王(浦和)
駒野友一(磐田)
阿部勇樹(浦和)
長友佑都(FC東京)
MF:
稲本潤一(フランクフルト/ドイツ)
遠藤保仁(G大阪)
中村憲剛(川崎)
今野泰幸(FC東京)
FW:
玉田圭司(名古屋)
巻誠一郎(千葉)
佐藤寿人(広島)
田中達也(浦和)
さて。
とにかく勝たなければいけない。それがW杯予選だ。
泥臭くてもいい、きれいじゃなくてもいい、とにかくゴールを決めて勝たなくてはならない。それがW杯である。
昨日、9月6日のバーレーン戦に臨むメンバーが発表された。
これはいわば「第1次召集」であり、今後、追加召集される選手も出てくるであろう。そして最終的に9月6日の試合に登録されるメンバーは18名に絞られる。
現段階では、ここしばらくずっと代表常連であったSBの内田が招集されていない。また、先日のウルグアイ戦で久々の代表復帰を果たした小野も選ばれていない。そして、復帰が待たれる日本代表のエース・高原もやはりというべきか、招集されていない。
中盤は稲本を除くメンバーは順調にというか、やはりこの面々が選ばれたか、という感じだ。その稲本について岡田監督は次のように語っている。
「彼の経験、それからアウエーでの厳しい戦いでの個の強さ、そういうものを期待している。彼が試合に出るか、または18名の(試合登録)メンバーに入るかどうかは別として、ここで一度招集したいと考えた」
岡田監督は慎重な発言をしているものの、かなり期待があるように思える。確かに稲本には勝負強さがある。守備は安定していて、1対1にも強い。欧州でもまれたフィジカルは強く、中盤の底というポジションながら、得点能力もある。
そして何より期待したいのはメンタル面だ。
現在、日本代表チーム内でもっとも闘争心をむき出しにするタイプの選手は闘莉王や巻だろうか。川口もそうだが、ここ最近は正GKには楢崎がついている。
試合中、TVの画面から見ていてもものすごい気迫が伝わってくる選手がいる。古くはゴン中山選手がそうだったし、中田英選手もそうだった。この二人は決してキャプテンではなかったが、チームの精神的な支柱であり、周りの選手を叱咤し、鼓舞する存在であった。
稲本選手にはぜひそういった姿を見せてほしい。
元来、おとなしい性格なのかもしれないが(選手個人の性格まで理解するのは難しいが)、代表経験、W杯経験、アウェー経験、海外経験、どれをとっても豊富な選手というのは、今回発表された選手の中では中村俊か稲本しかいない。
中村俊選手にはもちろん、ドイツW杯以後の代表チームのリーダー的存在であり、エースである自覚もあるのだが、試合中に鬼のような形相で声を張り上げてチームを鼓舞するタイプではない。そう考えたとき、稲本選手にその役割ができないか…と考えてしまうのである。
W杯には同情も感傷もない。とにかく結果だけ、それも異常なまでの結果に対する執着が求められるのだ。恥も外聞もない。とにかく必至の極み、ベストの極みを尽くして勝利をもぎとらなければならない。
稲本選手には、ぜひ、新たな代表での姿を見せてほしい。
筆者紹介:
小松英之(こまつひでゆき)。静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。中国のプロサッカーリーグであるCリーグの観戦多数。
また、中国女子サッカー代表の監督を務め、現在Cリーグの強豪・山東魯能でコーチを務める張海濤コーチとは、家にも行ったことがあるほどの仲。同コーチは今年、ドイツのケルンFCにてコーチ留学を終えて帰国した。ドイツでのコーチ留学の状況を聞けるなど、貴重な交流を重ねている。