早くも来季ACLに赤信号!?山東魯能がホーム戦落とす
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。
また、香港プレミアリーグについては「香港超級聯賽」と記します。
昨季の山東の成績は30試合で12勝6敗12分。そして今季の同チームは第6節までですでに3敗。昨季フルシーズンの半分の負け数を第6節までにすでに記録してしまった。
原因はDFだ。開幕戦以外、クリーンシートはなし。昨季はフルシーズンで29失点と北京国安、広州恒大に次ぐ3位の失点数で、しかも2位の広州とは失点数わずか1。つまり昨季の山東は広州恒大なみにDFが安定していたのだ。それが、今季はすでに失点10。北京の失点が4であることを考えれば、この数字の悪さがわかるであろう。この日の天津戦も先制され追いつき、追加点を奪われても追い付きと、楊旭が気を吐き、見事に2ゴールあげたにもかかわらず、ロスタイムに失点して敗戦。ホームで天津に敗れるのは実にクラブ創設以来の出来事だったそうだ。
いったい、山東の守備はどうしたのだろうか。
ACLを見ていても思うが、今季の山東はラインを下げめにして、中央を固く閉ざして守ろうとしている。これは恐らく、ジエゴ・タルデッリをはじめとする前線の外国人選手たちにある程度の自由を与えるため、前から積極的にプレスするのではなく、ゴール前をしっかり固めて奪ったボールを前線に渡して攻めるという意図だろう。しかし、これが機能していない。天津との一戦でも垣間見えたが、真ん中を固めてはいるものの、サイドから攻められるといとも簡単にマークがずれてしまう。天津の3ゴールはいずれも真ん中を攻めあぐねた天津がサイドに振ってからのクロスで決められたものだ。試合中の修正がきかないことも失点を重ねる原因なのだろう。
それでも、中国代表正GK王大雷がいるために、今季の失点が10で収まっているともいえる。早急にDFをテコ入れしなければ、今後も失点を重ねて、リーグ優勝どころか来季のACLさえ出場が怪しい展開だ。
今後、山東がどうDFを修正してくるのか。そこに注目したい。
松本忠之(まつもとただゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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