【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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中超ウォッチャー002「岡田監督のサッカー」

イングランド・オランダ・日本・中国の各国の指導者ライセンスを所持するサッカースクール!

小松英之の連載がブログで紹介されました!

中超(中国プレミアリーグ)第5節。

岡田監督率いる杭州緑城(H)vsアネルカ所属の上海申花(A)の試合をスタジアム観戦してきた。

※ちなみに、この試合は、あの宇都宮徹壱さんも杭州まで足を伸ばして取材されていたそうである。

試合は前半8分。アウェイの上海申花アネルカの見事なゴールで先制。岡田監督の出鼻をくじいた。かに思えたが、杭州は直後のキックオフからすぐにゴールを奪い返す。右サイドのスローインからつないで中央へクロス。最後はレナルディーニョが右足でコースを変えてゴール。すぐさま同点に追いつく。

試合はその後、お互いにチャンスを作り、バーやポストに阻まれるなどスリリングな展開であったが、結局11で試合終了。杭州はロスタイムに右サイドからのセンタリングを汪嵩がヘディング。惜しくもバーに阻まれ、これには岡田監督はじめベンチも悔しそうであった。

さて。

今回、「中超ウォッチャー」として初めて、ホームで岡田監督の指揮を拝見させていただいた。

試合前のウォームアップのときから、通路口に出てきてグラウンドを眺めるなど、試合にかける意気込みやW杯16強監督の放つオーラはさすがという感じであった。

試合中、岡田監督が最も多く指示したのは、DFラインの押し上げだ。

これは中国リーグ全体にいえることだが、まだまだ欧州を中心とする現代サッカーの基本、「DFラインを高く保つ」という意識が低い。ボールを奪ってからも、最終ラインはゆっくりとしか上がらない。岡田監督はそんな最終ラインに対して、味方ボールになると、とにかく「上がれ!上がれ!」と身振りで指示する。通訳が大声でそれを伝える。

岡田監督のサッカーの特徴を言葉で表せば、やはり「全員攻撃・全員守備」だろう。

杭州でもそのサッカーをやろうとしていることが伺える。

そのためには、チーム全体が最終ラインからFWまでコンパクトにまとまっていなければならない。コンパクトになるためには、ボールを奪ったら最終ラインはとにかくラインを上げてFWとの距離を縮めなければならない。

そして、縦の距離が縮まれば、当然、その分横にワイドになる必要がある。岡田監督がこの試合で2番目に多く指示を出していたのが、「横へワイドに!」ということであった。

中国リーグの中でも屈指の強豪で、トルシエ氏から「アジアナンバーワン」との呼び声も上がった広州垣大(昨季チャンピオン)は、実によくこの二つができている。DFラインの押し上げが早く、サイドはラインぎりぎりまで使う。今、岡田監督は杭州にそれを根付かせている真っ最中なのだろう。

さらに、全員攻撃・全員守備を実現するためには、高い位置でボールを奪う必要がある。高い位置でボールを奪って、素早くしとめる。当然、このサッカーには走力が求められるし、一朝一夕にできるものではない。

試合後、岡田監督は

「自分のやろうとしているサッカーができつつある。勝てなかったのは悔しいが」という趣旨のコメントをしている。

先週の報道では、岡田監督自身のコメントとして、「杭州緑城は中国リーグでも中堅クラスの実力。8位くらいの順位が妥当」という内容が報道されていた。

いち早く岡田監督のサッカーが根付いて、中国リーグ制覇とはいかなくとも、来季のACL出場を果たしてほしい。

その条件もリーグで2位以内か、カップ戦優勝と決して簡単ではないのだが…

<筆:中超ウォッチャー小松英之>

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