【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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神の手&アイルランド問題をどう読むか

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W杯出場32カ国が出揃った。正確に言うとすでに出揃っていた32カ国以外の特別枠での出場が不可能であることがFIFAにより発表された。特別枠で33カ国目の出場を要請していたのは、アンリ(フランス代表)の「神の手アシスト」によりW杯出場を逃したアイルランドだ。

ことの経緯をもう一度確認しておきたい。

11月18日。フランスとアイルランドが欧州プレーオフでW杯の切符をかけて対戦した。試合は延長戦へともつれこんだが、延長前半13分、ゴール前の混戦からフランスのDFギャラスが決勝ゴールを決め、本大会出場を果たした。しかし、この前のプレーでFWアンリの左手にボールが当たっていたのだが、審判はそれに気付かず、ゴールが公式記録として刻まれた。アイルランドは試合後の猛抗議も実らず予選敗退となった。

問題シーンのリプレー映像でも、アンリの手にボールが当たっているのがはっきりと映っていた。しかも、当の本人であるアンリが「あれはハンドだった」と発言し問題はさらに肥大化した。アンリいわく、「しかし、僕は審判ではない」

その後、アイルランドは再試合をFIFAに要求。アイルランドのカウエン首相が「再試合要求を支持する」と発言すれば、「カウエン首相には私から何度も遺憾の意を表した。ただ私に審判の役割を求めないでほしい」とフランスのサルコジ大統領も発言。国際問題にまで発展した。

さらに、アンリはこの一件で「代表引退を考えた」と発言し、元フランス代表のジダンが「彼(アンリ)を責めるべきではない。私もいろいろ苦しんできたから」と06年ドイツW杯決勝での頭突き事件を引き合いにアンリをかばった。

再試合要求がFIFAによって却下されると、アイルランドは今度は特別枠で33カ国目の出場をFIFAに要求。しかし、FIFAのバルク事務局長が昨日「不可能だ」と明言。「32チーム以上にW杯出場の希望をかなえることはできない」と事実上、同国の要求を却下した。FIFAブラッター会長は、12月2日に開かれる臨時理事会で本件について話し合うことを認めたものの、少なくとも同国が来年のW杯に出場できる可能性は断たれ、この問題は一応の決着を見た。

しかし、今回の「神の手」事件が起こした波紋は大きい。ビデオ判定の導入や審判の質の向上、該当選手の精神的負担だけではない。アイルランド・サポーターの気持ち、W杯出場を夢見てきた選手や監督、スタッフの努力、そして実利的な部分で言うならばW杯出場により期待できるアイルランド企業の経済効果…様々な夢や努力や思惑が、「ハンドを見逃した」という一点によって打ち砕かれたのだ。

さて。審判の誤審という問題は何も今に始まったことではない。よってそれに対する処置も存在する。現在の処置とは、「ビデオ判定は導入せず、主審の判断は絶対」というものだ。

しかし、これでは矛盾が生じるのは当然だ。誰しもが「人間は神ではない」ことを知っているからだ。神ではないから、失敗する。誤審もあれば見逃すこともある。しかし、それでもあくまで主審の判断が絶対だというのだ。今回の事件は、勝ったほうがW杯出場という試合だったために、よりこの矛盾点が大きな波紋を呼んだ。

今回の件でわかったように「審判の判断は絶対」という原則を敷いていると、公平さがなくなる。不公平な状況下でW杯出場を決めても後味が悪く、勝者も決して幸せではない。強引にでも「勝者はおれたちだ(たとえハンドがあってもね)」と自分たちに言い聞かせなければならないのだ。

ではどうすればいいのか。ビデオ判定を導入するのか。

それに対する答えのひとつは、アイルランドジョバンニ・トラパットーニ監督の発言に表れていると思う。いわく、「主審はアンリ自身に尋ねるべきだった。主審は迷っていた。だから副審に尋ねたんだ。だが、アンリ自身に直接聞くべきだった。もし主審がアンリに直接聞いていたら、彼は正直に“手でボールを運んだ”ことを告白していただろう。主審が選手に直接問いただすことは、今までだってなかったわけではない」

FIFAが長年訴え続けている「フェアープレー」の良心に訴えかけるのだ。たとえば今回の件で言えば、ハンドを犯しても主審がそのまま流していればアンリもわざわざ「私は先ほどハンドをしたので、あのゴールも取り消しにしてください」などということはないし、言う必要もない。もっとも、「フェアープレーの良心」という意味ではファールを犯した選手が自ら申し出るのが究極なのだろうが、それは非現実的だ。プレーを裁くのはレフェリーの役目だ。

だからこそ、トラパットーニ監督がいうように、選手の良心に訴え、プレーについての事実を述べさせるようにすればいいのだ。ファールした本人が認めれば、これ以上説得力のある判定はない。

しかし、当然素直に認める選手ばかりではないであろう。

そこで、ビデオ判定である。ビデオ判定を行うかどうかの決定権自身をレフェリーに与えればいいのではないか。その権利を与えたところで、乱発するレフェリーはいないだろう。乱発すれば、自身のレフェリーとしての資質と威厳を損ねるからだ。

もしくは、マッチコミッショナーがビデオ判定を主審に進言する、などというのもあっていいのではないか。非常に大事な試合で、非常に微妙なプレーが起こり、それによって勝敗が決まり、まさに天国と地獄のような結末が両チームに下される、というような今回の試合で、第三者から進言され、自身もその権利を有していながら、それでも「ビデオ判定は行わない」と言えばそれだけ自身の判定に自信があるということだし、この試合のように副審にプレーの事実を確かめるという、主審自身に自信がない場合は、第三者の進言によって権利を使えばいいのだ。少なくとも、今回のような処置よりは公平であろう。そして事実を突き止めて処置すれば、誰も傷つかない。

今回の一件でアイルランドは傷を負った。その傷が何らかの形で報われてくれるのを願うばかりである。

筆者紹介:小松英之(こまつひでゆき)

サッカーコラムニスト。中国語教師。龍飛中国語会話スクール名誉講師。サッカー専門サイト「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。静岡生まれ。

小さい頃から地元の高校である清水商業や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。その他チェルシーマンチェスターC、ユベントスなどの観戦経験あり。

中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海シンハや武漢光谷といったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。

08年 Cリーグ武漢光谷のスポンサー募集窓口担当。

08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。

09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。

山東魯能でコーチを務める張海濤コーチとは、家にも行ったことがあるほどの仲。張コーチは08年、ドイツのケルンFCにてコーチ留学を終えて帰国した。ドイツでのコーチ留学の状況を聞けるなど、貴重な交流を重ねている。

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