【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.11 1 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.11
December, 2017
1 of 5

 

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サプリング杯のグループリーグ第3戦で3-0と快勝した相手、ユンロン(元朗)。中村祐人がプレーするTaipo FCの香港プレミアリーグ第8節は、ホームに同じユンロンを迎えての試合となった。カップ戦、そしてリーグ戦と、Taipo FCは同じ相手と2連戦することになった。

カップ戦で3-0と快勝しているだけに、ファンとしてはリーグ戦でもう一度、ユンロンに圧勝する姿を見たいものだった。しかし、当然ながらユンロンも同じ過ちを2回連続で繰り返すわけもない。

中村祐人の「ユンロンがうちのことをよく研究してきているのがわかった」というコメントに見られるように、ユンロンは明らかに対策を立ててこの試合に臨んできた。そして、Taipo FCは主力の一人が累積警告により出場できなかったことも影響し、試合展開は苦しいものとなった。また、中村祐人も前半だけでピッチを退いた。

そのチグハグは最終スコアにも表れた。2-2。しかも、公式記録上はオウンゴール2つでTaipo FCは失点している。実際には一失点目はオウンゴールではない(VTRで見てもオウンゴールではない)ので、このインタビューの中では通常の失点として扱ったが、いずれにしろ、先制され、追いつき、勝ち越され、追いつき、という試合展開で2-2のドローに持ち込むのが精一杯となった。

2017年、最後のゲームとなったこの試合を中村祐人に振り返ってもらうとともに、本人にとっての2017年も振り返ってもらった。


続く

 

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.10 5 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.10
December, 2017
5 of 5

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---ところで、ロシアW杯の組み合わせが決まりましたね。日本はグループHで、ポーランドセネガルコロンビアと同組に。初戦の相手はコロンビアと決まりましたが、中村選手はどう感じていますか?
中村「もうW杯ですから、簡単な相手なんていませんからね。でもそれにしても、厳しいグループに入ったなと」

---世間では、ブラジル、ドイツ、アルゼンチンのようなW杯優勝国が入らなかったという理由で、楽観的な見方をする人もいます。
中村「優勝したことがないってだけで、ポーランドセネガルコロンビア、全部強いですからね。前回大会よりは厳しいグループに入ったし、日本代表も前回大会より強くなったのかどうかというのもありますし」

---あえて希望的観測を排除して、プロサッカー選手の目線から客観的に見ると、日本代表がグループリーグを突破する可能性はどれくらいあるとお考えですか?
中村「うーん…。まぁ三連敗する可能性もありますからね。ただ、やっぱり初戦でしょうね。まず初戦で負けないこと。勝ち点を取ること。初戦で負けちゃうと、厳しいと思いますね」

---その他で注目しているグループや国はありますか。
中村「スペインとポルトガルが初戦で当たるじゃないですか?あれは注目ですよね。お互いに初戦で、勝ち点を落としたくないだろうし。ポルトガルは僕が以前プレーした国でもありますし、ユーロで優勝を経験しています。だから、応援しているんですよね」
※スペインとポルトガルが初戦で激突するグループは、ロッコとイランが名を連ねるグループB。

---他にはありますか?
中村「韓国も気になりますね。あのグループで、どこまでやれるのか」
※韓国はドイツ、メキシコ、スウェーデンと同組のグループFに入った。

---韓国が気になるのは、同じアジアの国だからですか?
中村「そうですね。それから、うちのスクールに韓国人のコーチが来たんですよ。なので、応援の意味も込めて、ですね」

※中村選手は現役選手ながら、香港で以下のサッカースクールを運営している
BPD Football Club Produced by Yuto Nakamura
https://www.facebook.com/BPD-Football-Club-Jr-Produced-By-Nakamura-Yuto-1387925741429935/

---イタリアが出場を逃したことについては?
中村「やっぱりショックですよね。イタリアがいないW杯なんて…。僕が生まれてから、なかったですからね」

---他に、出場を逃して驚きだった国はありますか?
中村「南米のチリもですね。すごく面白いサッカーをしているなと思っていたので。見れないのは残念ですね」

---そうですか。今回もどうもありがとうございました!
 

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.010 4 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.10
December, 2017
4 of 5

 

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---一方で攻撃陣ですが、この試合でも3得点しています。今季のTaipo FCは本当にゴールをたくさん決めている印象が強いのですが、攻撃に関しては、以前からインタビューでおっしゃっているように、やはり高い位置からのプレスでボールを奪い、カウンターで仕留めるという戦術がはまっているからなのでしょうか?
中村「そうですね。だいぶメンバーも固定されてますし、そのメンバーで出場できてるときは、その戦術がすごく機能するな、という印象はあります。ただし、真ん中の誰かが抜けたりすると、逆にチームのサッカーも変わってしまうなという印象もあります。僕だったり、CBだったりが抜けると、チームのサッカーが変わってしまう。だから、交代で入ってくる選手が出ても、同じように質の高いサッカーができるように、レギュラーである僕たちも、また控え組も、共に意識して取り組んでいく必要があるかなとは思います」

---一方で、対戦相手も当然ながら、今季のTaipo FCを分析しているでしょうし、試合に臨むに当たっては、しっかり対策を立てて臨んできていると思います。それでもゴールを重ねることができている。その要因は、やはりそれだけ今季のTaipo FCの攻撃に破壊力があるから、ということなのでしょうか?
中村「個人的には、うちの攻撃が破壊力があるとはあまり感じていないです。それよりも、FWのイゴール(18番)が、いつも相手を一人、二人とはがしてくれるし、自分でもゴールを決められるし。事実、今季のうちの得点の半数以上は、彼が関わっていると思います。この試合でも、イゴールが前半の早い段階でゴールを決めてくれたので、それでユンロンとしてもゲームプランが崩れたというのはあるんじゃないですかね」

---では、チーム全体の破壊力というよりも、イゴール選手の個人技の部分が大きいと?
中村「攻撃面ではそれはあると思いますね。ただ、守備の面に関しては、チーム全体の守備力という意味で、すごくいいディフェンスができていると思っています。恐らく、香港リーグのチームの中でも、見ていて面白い試合ができているチームじゃないかな。だから攻撃に関しては、ノリというか勢いというか。それとイゴールの個人技の部分が大きいと思います」
※Taipo FCでプレーするイゴール選手は、かつて、Jリーグ草創期に鹿島アントラーズジーコと共に大活躍し、CM出演などもあり、国民的知名度を誇ったアルシンドのご子息。

---中村選手は元々ストライカーの選手ですね。その中村選手から見ても、イゴール選手の攻撃的センスは素晴らしい、と?
中村「そうですね。ひとりで運べるし、周りも使えるし、ゴールも決めれる。とても頼りになる選手ですね」

---中村選手はCM(セントラル・ミッドフィルダーとして今季はプレーしており、プレー中もイゴール選手と絡むことが多いと思います。息は合っていますか?
中村「はい。彼とはすごくプレーしやすいですし、僕がボールを持ったら、はっきりと動き出してくれるので」

---中村選手とイゴール選手が、攻撃に関して、二人でよく話しをして、こうしていこう、ああしていこう、というようなコミュニケーションはありますか?
中村「いや。それはありません。でも感覚的にお互いやりやすいんだと思います」

---攻撃陣が非常に好調な今季のTaipo FCですが、チームが残りのシーズンを戦うにあたって、今のやり方を継続するのがいいのか、それとも、もっと改善しないといけないのか、どちらでしょうか?
中村「全然後者ですね。もうちょっと、どうやって攻めるのか、どうやってビルドアップするのか。それをもっと練習しないとだめですね。ただ、チーム練習ではあまり、そういうトレーニングをしないんですよね…。だから、選手間で話し合って変えていくしかないですけどね」

---中村選手個人としての改善策はありますか?
中村「ありますよ。」

---言える範囲で構いませんので、お伺いしてもいいでしょうか?
中村「まぁフォーメーションとか、守備とかはいじる必要はまったくないですね。攻撃面では、うちのチームはテクニックの高い選手が多くて、身体的には小さい。だから、そういう特徴を生かして戦っていくほうがいいと思っています」

---つまり、スピードやアジリティーを生かしたり、細かくつないだりする攻撃でしょうか?
中村「それもありますが、ゆっくり攻めるべきときはゆっくりになってもいいんですよ。別に速く攻めることを否定はしませんが、落ち着くべきときもあると思っています。チームとしてのその判断は、僕に委ねられているんですよね。それは光栄なことではあるんですが、同時に僕だけじゃなく、周りの選手一人ひとりもそういう状況判断ができるようにならないと、チーム攻撃として、もうひとつ上のレベルには行けないのかなとは感じています」

---そういった状況判断は、実戦で培われるものでしょうか?
中村「それもそうですし、そういうトレーニングをチームがすれば培われるものだし…。あとは、僕を見て学んでほしい、という部分もありますね」

---課題は残ったものの、この試合の勝利でサプリング杯のグループリーグ突破に大きく近づいたと思いますが、いかがですか?
中村「そうですね。2連勝できましたし、これで次勝てば、たぶんグループ突破が決まるだろうし。決まれば、その後の対戦予想をしながら準備もできますし。次も勝って、必ずグループを突破したいです。カップ戦は、うちのチームにとって、タイトル獲得の可能性が高い大事な戦いなので」

 
続く

 

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.010 3 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.10
December, 2017
3 of 5

 

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---失点について、今季は昨季に比べて多いんですね。
中村「はい。得点も2.5倍くらいありますが、失点も倍くらいあると思います。今季は得点できる分、失点も許しているという感じです。うちは守備あってのチームだと思っていますので、この数字は改善しないといけないですね」

---昨季よりも失点が多い原因についてお伺いしたいのですが、今季はゴールも昨季より多いということで、単純に前に前に出て行くから、それに伴うリスクとしてチャンスを作られて失点が多くなっているのでしょうか。それとも、もっと他の原因があるのでしょうか?
中村「全体的な守備の意識が、昨季のほうが高かったと思います。それから、前線にタレントのある選手がいますし、前線の選手は昨季より確実に成長しています。それによって、必然的に、前に出て行く意識が強くなってしまっているのかな、と思いますね。それから、DFについても、去年よりも明らかにプレススタートするラインが高いですし。まぁ結局はバランスだと思うんですけどね。バランスがよくないな、と。ペガサス戦とかは、特にね」

---ゴールをより多く奪えるのは、当然チームにとっていいことですよね。そこで、ゴール数を減らすことなく、守備を改善して失点だけを減らすというのは、実現可能なタスクでしょうか?
中村「もちろん可能だとは思いますよ。ただ、うちのチームは、そのための練習をトレーニングの中で特にやるわけではないので、選手同士で改善していくしかないでしょうね。もっともっと細かいところは、話して詰めていかなきゃね、とは選手間で話しています」

---失点といっても、流れの中で、セットプレーから、あるいはオウンゴールなど、いろいろな形があります。ゴールの奪われ方という視点もあるわけですが、例えば、セットプレーからの失点を減らせば、もっと全体の失点数を減らせるなど、何か明確な改善点は見えているのでしょうか?
中村「今年ひとつ確実に言えるのは、くだらないミス、失点に直結してしまうミスが目立つという点です。これは、僕自身も含めてですけど。昨季はそういうミスがほとんどなかったといっていい。自分たちの力をしっかり認識して、相手をリスペクトしつつ、守備から入って、しっかり集中して守って、というのができていた。今季は練習の中でも不用意なミスが目立つので、練習から変えていかないといけないとは思いますね」

---不用意なミス、失点に直結してしまうミスが今季は多い。それを改善していくためには、試合だけでなく、練習のときから、しっかり意識しないといけない、ということでしょうか?
中村「そうですね。やっぱりトレーニングでしか変えていけないと思うので。今季、チームが昨季より強くなっていることは確実なんですよね。でもそこで忘れちゃいけないのは、Taipo FCというチームは、しっかり守って、走って、集中して。そういうところをがんばらなくちゃだめなんだ、という共通認識を選手全員が持たないといけないと思います。例えば、ミスをしたときも、自分が取り返すんだという強い姿勢を見せること。そういう、For the Teamのような気持ちを持ってプレーしていくことで、失点は減らせると思います」

---今季、これまで、不用意なミスから失点してしまったときに、チームのメンタルや雰囲気が下がってしまう、ということはありましたか?
中村「いや。それはそこまでないですね。失点しても、取り返すことが割りとできているので。もちろん、取り返しきれずに負けてしまった試合もありましたけど、メンタルが下がってしまうことはないですね」


続く

 

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.010 2 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.10
December, 2017
2 of 5

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---この試合、Taipo FCは前半だけで3ゴールを奪って、3-0で快勝しました。中村選手は先発フル出場していますが、プレーしていて、余裕があったのではないですか?
中村「まぁ前半のうちに3点を取れましたからね。前半は確かに余裕はありました」

---前半は、というと、後半はどうでしたか?
中村「予想していたことではありますが、ユンロンも後半は攻勢に出てきて、それをしっかり受ければよかったのですが、相手にチャンスを結構作らせてしまったし、後半だけを見たら、3-0というスコアほどに差はなかったです。なので、よくない形で試合を終えてしまったのは反省点です」

---しかし、失点はゼロですね。
中村「はい。そこは評価できると思います」

---失点こそしなかったが、いい形で試合を終えることができなかったというのは、後半にユンロンが攻勢に出てきたときに、チームが引いてしまった、ということでしょうか?
中村「そうですね。ある程度自分たちでもDFを下げて、カウンターで、という意識はあったのですが、ユンロンの攻勢はそれ以上だったので、ボールの奪いどころがはっきりせず、奪えても後ろに人数をかけていたから、効果的なカウンターもできず、苦しい展開でしたね」

---前半で3点を取ったことで、後半は、失点するまでは、4点目を奪う必要もない。チームはそんな雰囲気だったのでしょうか?
中村「そういうわけではないです。このまま3-0で終わらせられればいいよね、というのは確かにありましたが」

---この試合は3-0で勝利していますが、以前のインタビューで「試合をクローズさせてしまう(相手の息の根を止めてしまう)追加点が取れないことが課題」とおっしゃっていましたね。でも、この試合は3点目まで奪いました。課題は克服されてきているのでしょうか?
中村「そうですね。うちのチームはDFからリズムを作るチームだと思うんですけど、2点目取ってからも、しっかり前線からの守備ができていたし、ボールも奪えていた。セットプレーのチャンスも作れていた。そういう意味で、11人が全員、しっかりと同じ方向を向いてプレーできていたのだと思います」

---3-0での勝利は素晴らしい結果です。その一方で、後半だけ見ると0-0です。中村選手にお伺いしたいのは、後半もアグレッシブに攻撃を仕掛けて、たとえ失点しても4-1や5-2というスコアで試合を終えるほうがいいのか、それとも、今回のように失点しないことを最優先に3-0で試合を終えるほうがいいのか。理想としてはどちらですか?
中村「個人的には失点したくないので、後者ですね。特に今季、うちのチームは昨季に比べて失点が多いんです。それだけに、この試合はクリーンシートで終えたいと思っていました。だから、たとえ5点、6点と得点を重ねたとしても、失点を許してしまうような試合展開だと、僕の中では価値が下がってしまいますね」 


続く

 

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.10 1 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.10
December, 2017
1 of 5

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サプリング杯グループリーグ第3戦。
中村祐人がプレーするTaipo FCはユンロン(元朗)と対戦し、3-0で快勝。中村祐人も先発フル出場を果たしている。

試合後、祝福のメッセージをラインで送ると、「インタビューで語ったことを、プレーでしっかり表現できた」と喜びの返信をくれた。

中村祐人が語る「インタビューで語ったことを、プレーでしっかり表現できた」とは、「追加点を取りきって試合をクローズさせる」ことだ。この試合では、なんと前半だけで3点を取った。後半の戦い方に課題を挙げたものの、クリーンシートを達成し、3点目もしっかり奪い、快勝できたことは評価に値する。それを中村祐人は「しっかりプレーで表現できた」とコメントしたのだ。

それでは、この試合を中村祐人本人に振り返ってもらおう。そして、話題は今月初めに決定したロシアW杯の組み合わせについても及んだ。

続く

 

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