上海vs広州の中超覇権争い勃発か!?
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」(中国プレミアリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。
また、香港プレミアリーグについては「香港超級聯賽」と記します。
第7節までを終えた中超の順位は、
1位 上海上港
2位 広州恒大
3位 上海申花
4位 広州富力
5位 山東魯能
6位 北京国安
…
と昨日の記事でも書いたが、中超のもうひとつの楽しみ方を提供するという意味で興味深いのは、中国におけるサッカー王国の覇権争いだ。
以前では大連が長きにわたってその地位を確保していたが、やがて他地域のレベルの上昇と共に大連は衰退した。大連実徳時代が最盛期であったが、今季、大連のクラブは甲(2部に相当)での戦いを余儀なくされている。そして新たに覇権を握ったのが広州。ご存知、広州恒大の名はいまや中国のみならず、日本、韓国、豪州などACLを戦うアジア全域に知られることとなった。そして、昨季、中超4位に入り今季のACLに出場した広州富力の存在により、中国の中では広州が「サッカー王国」たる存在感を増している。やはり1チームだけだと「そのチームだけ」「そのチームの資金力の問題」と片付けられてしまうが、強豪クラブが複数チーム出てくると「地域」としてサッカーが強いという認識に変わるのだ。
その意味では、北京国安を抱える北京、山東魯能を抱える山東は、それぞれ「国安」もしくは「魯能」は強いが、地域が強いとは中国人は思っていない。そこへきて、上海はその都市の経済力もあり、現在、中超に3つのクラブを抱えている。申花、上港、申鑫である。欧州でもミラノやローマ、マドリッド、バルセロナ、ロンドン、マンチェスターなど、複数のトップリーグでプレーするクラブを抱える都市はあるが、上海のように3つがトップリーグでというのはそんなに多くない。その意味で上海は中国におけるサッカー王国であってもおかしくないのだが、如何せん、クラブが強くない。弱くもないが、優勝できていないし、ここ数年はACLからも遠ざかっており、中国国内で「サッカー王国」たる認識を得るには程遠いと言わざるを得ない。
だが、今季はどうだろう。
上述したように、あくまで第7節を終えた段階ではあるものの、1位と3位につけている。広州も2位と4位につけており、この順位だけ見ると広州勢vs上海勢vs北京、山東という構図が成り立つ。非常に興味深いランキングだ。
そして今夜行われた第8節。
王者・広州恒大がそのプライドを見せつけた。アウェイに乗り込んでの上海申花戦で30の勝利。「広州勢ここにあり」といわんばかりの勝利を挙げた。今節、上海上港はアウェイでトルシエ監督率いる杭州と対戦する。また「もうひとつの広州」である広州富力はホームで遼寧と00で引き分けた。果たして、実力証明済みの広州勢に対して、今シーズン、上海勢がどこまで迫れるのか。そして、そこに絡む北京と山東は来季もACLを叩けるのか。
注目だ。
松本忠之(まつもとただゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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