【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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【縦横無尽】頭ではなく所作で覚えよ

映画「日日是好日」を鑑賞した。
インターネットによりボーダレス化が進み、また高速化が進んだことにより、何かにつけて生産性がもてはやされる世の中になった。一方で、この映画で描かれる茶道の世界は微に入り細に入り緻密な所作の連続であり、それを習得するには理屈ではなく、何度も何度も同じ動作を繰り返さねばならない。茶道教室に通い始めた20歳の女の子が「なんでですか?」といちいち所作について質問するのに対して、先生が「なんでとかではなく、そういうものなんです」(頭で考えるのではなく、型を踏襲して所作を覚えなさい)と答えるシーンは、世相を見事に描いていた。
ただ、茶道に代表される日本の伝統文化を、それこそ理屈ではなく所作で身体に染み込ませてきた年代の方々、個人的には戦前生まれで思春期に終戦を迎えたくらいの人たちがそれに当たるようにおもわれるが、そういう方々はもやは多くない。では、その我が国古来伝統の所作を受け継いでいる若者がどれだけいるかとなると、少なくとも主流派ではないだろう。
本来、それを小さい頃から教えるのが教育ではなかったか。小学生に英語を習わせ、スマホを持たすことは、これからの世界情勢を考えたら「生き抜く術」を教えることとして必要なことだろう。だが、それを理由に伝統や文化を教えなくていいとはならない。少なくとも私はそう思う。その意味では、戦前生まれがどんどん少なくなり、コネクテッドカーやAI、IoTが本格化しようとしている今、まさにこのタイミングがその分かれ道のように思える。
だからこそ、映画「日日是好日」に出てくる茶道の先生、武田先生のような方が今こそ必要なのだが、その武田先生役がつい先日、永眠された樹木希林さんだったというのが、私には今日の日本への警告のように思えてならない。

 

中国人は「反日」なのか: 中国在住日本人が見た市井の人びと

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