【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【縦横無尽】いじめで登校拒否になった子も学歴を問われるのか?

私は小学校に入るまで、いじめられっ子だった。近所の子供たちはみな年上で、いわばその近所のお兄ちゃんたちによってたかっていじめられていたのだ。いじめられる度に大泣きし、それでも他に遊び相手もおらず、いつも結局近所のお兄ちゃんたちと一緒だった。
そんな経験からだろうか、私は小学校でも中学校でも、いじめられっ子や登校拒否の子の味方となった。小学校一年のとき、太っていて運動の苦手なH君が体育の授業でジャングルジムに登ったものの怖くて降りられなくなったとき、先生に言われるでもなく自らジャングルジムに登り、一緒に降りた記憶が今でも残っている。
小学校五年の時は、Aさんという女の子が、クラスメートから言われなきいじめを受けて、教室まで来られなくなり、学校に来ても保健室で過ごしていた。そのうち、登校すらできなくなってしまったのだが、私は率先して、クラスメートの数人を引き連れ、保健室や自宅に行って励ました(もちろん、先生の許可を得て)。
中学校でも、Tさんという女の子が登校拒否で、Aさんの時と同じように振る舞った。
高校生になると、その範囲は他校にも及んだ。地元の児童館の公園で小学生相手にサッカーするようになり、その光景をいつも見ていた同年代の女の子と知り合った。しばらくして、その女の子は学校に行けないのだと知った。でも、こちらには心を開いてくれて、児童館の公園でいろいろ話した。
さらに、あるアーティストのファンクラブを通じて知り合った同じく同年代の女の子は市外の子で、文通のやり取りでいじめによる登校拒否だと知った(当時はまだEメールもなく、ポケベルしかなかった)。あるイベントで初めて会ったが、学校にも行けず、地元の友達にも接せない中、文通が彼女の心の支えになっていることを告げられた。

さて。なぜいきなりこんな話かというと、私が青春時代を捧げたあるアーティストが約30年前のソロアルバムをリミックスして再リリースしたことがきっかけだった。そのインタビュー記事を読むと、当時と今のサウンドのトレンドの違いが語られており、それで懐かしくなり30年前と再リリース版を聴き比べてみた。そこで久しぶりに聞いたある曲は、高校生の当時、私に地元の児童館で出会ったあの子を彷彿とさせるものだったのだが、それを思い出したからだ。
H君、Aさん、Tさん、そして児童館のあの子に市外のあの子。みんな今、どうしているだろうか。幼い頃に心に深い傷を負い、それでも必死で生き抜いた彼らは、「いじめられる」という経験を持たない人以上に、人の心の傷みがわかるに違いない。そういう人たちに、活躍の場がしっかり用意されているだろうか。もしくは、登校拒否による学歴が悪影響を及ぼしていないだろうか。
ひとつだけ言えることは、「人の不幸の上に自分の幸福を築くな」ということだ。いじめはいじめる側が100%悪い。いじめた側は澄まし顔で学校に通い続け、履歴書の学歴には何の傷もつかず、逆にいじめられた側は登校拒否になり、そんな学歴のために不利を被るのなら、あまりにも不公平ではなかろうか。

 

中国人は「反日」なのか: 中国在住日本人が見た市井の人びと

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