【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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【縦横無尽】料理とは何か

映画「ラストレシピ」は孤高の天才料理人を描いた作品だが、料理というものを考える上で実に示唆的である。
ネタバレになるからストーリーは書けないが、料理は「最大公約数」である。味覚は完全に個人的好みであり、十人十色だが、それでも不特定多数の人たちが「美味しい!」と舌を巻く料理があり、それを創り出せるのは「天才料理人」のひとつの定義であろう。
一方で、例えば100メートルを9秒58で走るウサイン・ボルトが偉大なのと同じように、「こんなすごい料理は、このシェフにしか創れない」というテクニカル的にも、才能的にも、凄腕の料理人も「天才料理人」と言えるだろう。
私にとって、前者の天才料理人は香港の上環で腕を振るうSさんである。ただし、Sさんが後者の天才料理人ではない、ということでもない。Sさんにコスト、設備、時間など、完璧な環境を準備して料理を創ってもらったら、後者の天才料理人であることが証明できるかもしれない。その意味で、Sさんはまだ未知の領域を残している。
「ラストレシピ」では、天才料理人が、完璧な環境を用意されたが、そこにドラマが潜んでいた。そして、「料理とは何か」という何気ない、しかし根本的な問いに、非常に明確に答えを出している。重ねてネタバレになってしまうからそれは書けないが、私はその答えを見たときに、Sさんが頭に浮かんだ。そう、映画「ラストレシピ」が伝えるメッセージを、私は現実世界ですでに体感していたのである。

Sさんは孤高の天才料理人でありながら、またその一方で「料理とは何か」の答えを、自身の腕と才能で示してくれる料理人でもあるのである。

 

中国人は「反日」なのか: 中国在住日本人が見た市井の人びと

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