【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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カップ戦決勝直前!中村祐人独占インタビュー 3 of 5

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※CMとはセントラルミッドフィルダーを指します

—私がサンフランシスコでオンラインのライブ中継を見た試合(第20節のサウスチャイナ戦)で、和富大埔は4-1で大勝しました。その試合でも中村選手はCMとして出場しました。その時の印象として、とにかく中村選手がインターセプトしまくっていた、というのがありました。

中村「あの試合は確かにそうでしたね」

—チームにボールを奪える選手がいるのといないのでは大違いです。しかも、中村選手の場合、フィジカルでガンガン削りにいって奪うというよりは、ボールの出先に中村選手がいた、もしくは(テレビ画面に)突然、中村選手が現れてボールを奪っていった、そんなイメージでした。

中村「そうでしたか」

—あくまで一般論ですが、FWの選手は守備の能力に欠けます。その選手が守備力も求められるCMの位置でプレーする。守備に関しては自信はありましたか?

中村「まったくなかったです。そもそも、一対一の練習でもすぐ抜かれますし。ただ、CMの位置での守備はそこが求められるのではなく、コース切ったりとか、インターセプトだったりとか。とにかく頭をフル回転させて対応する必要があるので。そうしているうちに、相手にも激しく当たれるようになってきましたね」

—元々、FWの選手である中村選手が、なぜこんなにもインターセプトできるのか、とても不思議でした。そこで考えたのですが、中村選手の特徴のひとつとして、セカンドボールへの対応のよさ、というのがあります。つまり、試合の流れのなかで、次にどこにボールが来るのかを先読みして、しっかりポジショニングしている。その能力が、ひょっとしたら、中盤でのインターセプトのプレーにつながっているのかな?と。

中村「その通りですね。FWのときからそうでしたが、洞察力ですね。FWで、ずっと相手選手との駆け引きを繰り返して来ましたから。それに、僕がFWだっただけに、相手FWの心理というか、次にどうしたいかっていうのは読みやすいですし。ここは裏を付いてきそうだ!とかね」

—洞察力や駆け引き。具体的にはどういう感覚なのでしょうか?

中村「そうですね…ボールの位置、ボールホルダーの身体の向きや目線。それから相手選手と味方選手のポジショニングなどの周囲の状況。そういうのを見ながら、次にここにパスが出てくるな、と予測して奪いにいきます」

インターセプトに関連して、もうひとつ思ったことは、奪ったあとの動きです。中村選手はキープ力が高いので、チームを落ち着かせることができる。逆に、ショートカウンターを仕掛ける時は縦に素早くパスを入れる。そこの判断がまたとても的確です。

中村「周りもそう言ってくれるんですよね。僕は無意識ですが(笑)」

インターセプトした後の動きについては、奪ってからすぐに判断されているのですか?

中村「いや。奪う前です」

—あ、奪う前から、もう奪った後のプレーまで見据えている?

中村「基本的にはそうです。奪いに行く前から、周囲の状況はある程度わかっているので。例えば、相手のパスが弱かったら、そのままダイレクトで前線につなげようとか…まぁ一瞬の判断ですが」

—なるほど。本当に一瞬ですよね。

中村「そうです。0コンマ何秒の世界ですよね」

—今、お話を伺っていて気がついたのですが、中村選手の先読みやセカンドボールへの反応の良さ、そしてインターセプトと、すべて判断力の賜物なのですが、私は今まで、それが「的確な判断」という意味においてのみ考えていました。しかし、ただ的確なだけでなく、「的確で速い判断」というべきですね。0コンマ何秒の瞬間の判断で動いている。だからこそ、セカンドボールをしっかり確保できたり、インターセプトできたりする。

中村「その通りです。僕はわりと、ボールを受けてから離すまでの時間が短いと思うんですが、そこはまさに判断の速さですね。別に、前もって100%の状況が見えているわけではないんです。でも、瞬時に判断してプレーするようにしています」

—それが中村選手の守備能力の高さにつながっているんですね。守備というと、身体が大きくて、ガタイが良くて、ガツガツ相手にプレッシャーをかけにいく、というイメージがありますが、中村選手は以前からおっしゃるように、ずば抜けたフィジカルの持ち主ではない。でも、個人としても、チームとしても、しっかり守備が機能している。それは中村選手の極めて高い判断力があるからだと気が付きました。

中村「そう言っていただけると嬉しいです。確かに、CMの位置に入って、声を出すことも増えました」

—当然、CBとのコミュニケーションもあるんですよね?

中村「あります、あります。めちゃくちゃありますね」

—どんなコミュニケーションをしてるんですか?

中村「ラインの高さ調整や、ポジショニングなど、いろいろです。でも、それがすごく楽しくて。自分がある程度、チームをオーガナイズできるんですよね。FWだとそうはいかないので」

—逆にCBから指示が来ることもありますか?

中村「ありますよ。残ってくれとか、逆に上がれとか」

—元々はFWの選手なのに、守備の選手も中村選手の指示を聞くというのは、信頼されている証拠ですね。

中村「もちろん、時には間違った指示を出すこともありますが(笑)。でも、そうですね、信頼はしてくれていると思います」

—FWとCMで、一番大きな違いって何ですか?

中村「CMは、やっぱり後ろが気になることですね」

—なるほど。後ろはもうCBですしね。

中村「FWの時は、自分の後ろは相手DFでしたから。でも、今は、ここを通させたらまずいな、とか。そういう意味で、後ろが気になりますね」

—CMの位置に入って、ゴールからは遠くなったわけじゃないですか。そこに対する不満はないのですか?

中村「ないですね。というか、僕はアシストも同じくらい好きなんですよ。自分のパスで仲間がゴールを決めて、喜んでくれる。最高ですね」

—FWは役割が明確です。それはゴールであり、チャンスメイクです。CMの役割は、そこまではっきりしているわけではないのでしょうか?

中村「監督は恐らく、前線とのリンクマンとしての役割を望んでいると思います。ただ、僕個人としては、真ん中に入ってきたボールをインターセプトしたりだとか、相手に前を向かせないだとか。そういう方に意識がいっていますね。でも、それが結果的にチームの攻撃にもいい影響をもたらしてくれています。僕のところから、攻撃のいい流れを発信できたりとか」

続く