【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中村祐人、コラム【縦横無尽】、ビール、アメリカ、中国etc

中村祐人インタビュー2016夏 1/5

序章

電車に乗って車内モニターをふと見ると、デモの様子が報道されていた。

7月1日。この日は香港では歴史的意義のある一日だ。1997年のその日、長年続いたイギリスの統治から中国へ返還された日だからである。

デモ隊の思想や返還によって香港市民の方々がどうなったのかは、私のようなよそ者では窺い知れないデリケートなものである。しかしながら、1997年7月1日のその日、中国語を学び始めてわずか3ヶ月しかたっていなかった私は、テレビの前で返還式典の様子を歴史の証人になるような気持ちで眺めたものだ。

あれから19星霜。その日も私は香港にいた。その月日の長さと、今もこうしてこの地に来られることに感謝しつつ、私は翌日に控えたインタビューを思った。

この日より約3ヶ月前。

男と彼がキャプテンとして率いるチームはリーグ戦の佳境にあった。残留か。降格か。その瀬戸際を戦っていた。しかも、残す2試合の相手は残留争いを繰り広げる直接の相手。負けられない。もちろん、2試合すべて勝ちに行く。自信はある。チームの雰囲気もいい。

ところが…。

サッカーの神様は残酷な結末を男とチームにもたらした。1分1敗。しかも最終節は引き分けでも残留が決まる状況で1-4と大敗。自力残留がなくなったチームは、他チームが残していたもう1試合の結果によって残留か降格かが決まる状況になった。他力本願。ただ待つしかない状況。

そんな状況の中、香港プレミアリーグの最終節が行われ、なんと黄大仙は降格の憂き目に遭うこととなった。

遠く日本から残留を願っていた私にとって、その結果について彼に聞くことは残酷なことのように思えた。

しかし、幾多もの苦境を乗り越えてきた男である。もちろん、悔しいであろう。無念であろう。しかし、それでもこの男なら、たとえ傷だらけになってでも、力強く進んでいくことだろう。だから遠慮は要らない。事実として、シーズン終了間際に起こったこと、そこで彼が感じたこと、そして今なにを思っているのか。それを聞かせてもらおう。

そう思い、インタビューをオファーした。いつも通り、彼は快く受けてくれた。そのインタビューが翌日に迫っていた。

中村祐人。20152016シーズンを黄大仙のキャプテンとして過ごした。今、彼は何を思うのか。そして、サッカー界に衝撃を与えた一人の日本人プレーヤーの現役引退に、中村祐人は何を思うのか。

中村祐人、最新インタビューをお届けする。

※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級」(中国スーパーリーグ)の略で、日本でいうJ1に相当します。また、香港プレミアリーグについては「香港プレミアリーグ」と記します。