東福岡に勝利、日大藤沢に敗北、今回の静学とは?
「サッカー王国静岡は弱くなった」
そんな声に対しては、普段特別サッカーを好んでみるわけでもない主婦ですら、こんなことをいう。「静岡が弱くなったんじゃなくて、全国のレベルが上がったんだよ。特にJリーグができてからはね」
高校サッカーといえば、静岡人にとってはお正月の風物詩で、以前(私が小学生のころ)は静岡代表校の試合がある時間帯は、お正月回りをしている人たちもテレビにかじりつくから、お正月バーゲンを買いに行くなら、高校サッカーの中継をしている時間帯が穴場…などとまで言われたほどだ。まして、その時代は静岡代表はベスト4に行くのは当たり前。ライバルといえば国見か浦和東(もしくは武南)、はたまた四日市中央工か市船か帝京…ともかく全国トップの高校しか目に入っていない状況だった。実際に毎年そんな状況だったのも事実だ。
それが、今はそんな垣根はなくなって久しい。それどころか、全国大会でベスト4すら届かなくなってしまった。これは日本全国のサッカーという目線から見ればレベルが底上げされていていいことだが、静岡人としてはなんともさみしい。だが、さみしいといっているだけではだめで、静岡の高校にも当然がんばっていただきたい。
そんな中迎えた今年の選手権。一回戦をゴールラッシュで圧勝。この時点でもまだ私は「いやいや、次の東福岡に勝って初めて全国レベルの強豪といえる」と思っていた。そして、なんと東福岡を30というスコアで下した時にはさすがに狂喜乱舞。だが、それも一瞬で冷静に。「ベスト4までいけたら、本物だ」。数年ぶりにもたらされた、静岡人の「サッカー王国」としてのプライド復古のチャンス。頼む、あとひとつ勝ってくれ。あとひとつ勝てば、18年ぶりの4強入りだ。しかし…
日大藤沢はいいチームだった。あれだけ攻め立てた静学の猛攻を防ぎFKから先制点を奪うと、すぐに同点に追いつかれるも、少ないチャンスをものにして再びリード。ホイッスル。だが、静学は本当によくやってくれた。技術はいまいち、なんて言われながら泥臭くても何でも全国ベスト8まで勝ちあがってくれた。それだけで十分だ。ベスト8だって静岡県勢としては5年ぶりだったのだから。
ベスト4への挑戦。静岡のチャレンジは来年に持ち越された。
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小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
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