W杯本大会で岡崎の1トップはあるか?
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※当ブログでは、中国1部リーグの呼称を中国で一般的に使われている「中超」に統一いたします。「中超」は中国語の「中国超級聯賽」の略です。
マインツの岡崎が欧州主要リーグの日本人ゴール記録を塗り替えた。これまでの記録だった香川の13ゴールを上回り、14ゴールに到達した。
この新記録について岡崎は、「僕はFWで香川はMFの選手。そういう意味で、面目が立ったかな」と語り、自分はあくまでFWの選手であるという強烈なプライドをのぞかせた。
日本代表では常に右MFとしてプレーしており、シュツットガルトでもMFでの出番が多かった。だが、もともとは「ダイビングヘッド」が代名詞になるほどのストライカー。MFはあくまでいろんなポジションをこなせる選手として成長してきたがゆえの姿だ。そして岡崎はいまや、相手DFラインの裏へ抜ける動き、ゴール前に斜めの角度で侵入するランニング、前線からの守備、労を惜しまない献身的な姿勢など、名実ともに日本代表には欠かせない存在となった。
そして、日本代表の攻撃の要である本田や香川、またこれまで1トップの第一候補であった柿谷が所属クラブで決していい状態ではないこの時期に、岡崎がこの記録を打ち立てた。ザック監督の中で岡崎をFWとして起用する考えが浮かぶことはあるだろうか?
柿谷と並んでもう一人の1トップ候補は大迫だ。大迫はドイツ2部ながら試合にも出場しているし、結果を残している。だが、単純に比較すれば、世界の強豪相手に「ドイツ1部で14ゴール(現段階)をあげた1トップ」と「最近ドイツ2部に移籍してきた1トップ」では、与えるインパクトが違う。
もちろん、サッカーはインパクトでやるものではない。しかし、岡崎がゴールという結果を出し続けていることもまた事実だ。日本代表として、1トップではまるのかどうかという問題もあるが、採用するかどうかは別として、選択肢の中のひとつとしてザック監督の頭に浮かんできてもおかしくはなだろう。
実は、過去にザック監督は1トップ岡崎を試したことがあった。
それは昨年のコンフェデ開幕戦、ブラジルとの試合で、だ。
このときはうまくはまらなかった。しかし、相手はブラジルであり、開始わずか3分で先制された。しかも、この時に岡崎を1トップに置いた理由について、ザック監督は、強豪相手ということで、中盤でのボールキープ率を高めるために、清武を2列目に使い、岡崎を1トップに置いたと説明した。
結果的にこの采配は失敗に終わるが、しかし、岡崎をゴールゲッターとして1トップに置いたわけではない。むしろ消極的な理由で1トップにした。ならば、今度はブンデスで14ゴールをあげている選手(現段階)を積極的な理由で、つまりゴールゲッターとして、1トップに起用する可能性が生じてもおかしくはない。
選手起用と召集に関しては保守的なザック監督のこと。1トップ候補はやはり柿谷、大迫である可能性は高い。大久保、佐藤寿人、豊田、川又などJで活躍する選手も多く、ハーフナーという選択肢もあるが、柿谷と大迫の次に来る1トップ候補は岡崎ではないだろうか。
いずれにしろ、岡崎のこの記録は日本代表にとって朗報以外の何ものでもない。ザック監督をいい意味で困らせてほしいものだ。
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筆:小松英之 ツイッターはこちら
小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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