寛容の清水と誠意の浦和は引き分け
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多くのサッカーファンの記憶に残るであろう試合が行われた。
2014年3月23日。浦和(H)vs清水。結果は11でドロー。
浦和サポーターによる差別表現の横断幕による処分で、この試合はJ史上初の無観客試合となったのだ。
実はこの試合に先立って、清水はホームスタジアムのアイスタで無料のPV(パブリックビューイング)を行うと発表していた。浦和へ行く予定だった清水サポ、こんな大事な試合だからこそみんなで応援したいというサポの必死の訴えがクラブを動かし、清水が急遽、開催を決定したものだ。
この清水のPVに対して、浦和はその決定報道がなされると、清水に連絡をいれて、PVにかかる費用をすべて負担したいと申し出たという。これは、一部の悪質なサポーターの責任をクラブがきちんと取るという姿勢の表れ(のひとつ)であり、ひとりの清水サポとして、浦和の誠意を感じた。これに対して清水は、その申し出を断ったという。理由のひとつにはは浦和の経済負担を考慮してというのもあったそうだ。ある意味「巻き込まれた」形であるにも関わらず、清水はJリーグ、引いては日本サッカー全体の問題として捉え、浦和の経済的負担に考慮し、気持ちだけを受け取ったということであろう。この寛容さには手前みそながら、素晴らしいと感動した。
そんなこんながあって迎えたゲーム。
もちろん、清水が勝つことを希望していたが、結果は11の引き分け。でも、負けなくてよかった。清水が負けたら、ただでさえ悔しいのに、その上、この流れで負けたら、なんだか単なる「人のいいクラブ」に感じられてしまうからだ。
プロサッカークラブである以上、結果を求められる。
そういう意味で、負けないでよかった。アウェイということを考えれば、(無観客試合ではあったものの)浦和からアウェイで勝ち点1を得られたことは悪くない。
どうか。これから清水の順位があがりますように。
そして、清水のホームで浦和を迎える際は、節度を保った、それでいて試合は白熱する、サポーターもふくめた素晴らしい試合を見せてほしいものだ。
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筆:小松英之 ツイッターはこちら
小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川在籍時)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
ブンデス:ニュルンベルク(長谷部、清武在籍時)、ハンブルガーSV
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鐸氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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