それでも私は香川をリスペクトせざるをえない
小松英之が語るコンフェデ杯の注目ポイントはこちらから
ブラジルに完敗し、選手や監督のコメント以外にも非常に多くの分析やコラムが報道されている。
(小松英之が語る!ブラジル戦を振り返るインターネットラジオはこちらから)
しかし、そもそも、ブラジル相手に03で負けるのは不思議でもなんでもない。ましてや、会場がブラジルのホームなのだから。スペインやイタリア、ドイツ、アルゼンチン、イングランド…そういった強豪でなければ、そもそも、ブラジルのホームでブラジルと互角に渡り合えない。いわんや、アジアのチームは。それがたとえアジア王者の日本でも。世界は少なくとも、そう見ている。
ただ、日本国内で、それをそう思わせなかった(どこかで日本はブラジルと互角に渡り合えるのでは?)と思わせていたのは、やはり選手たちのコメントが大きく報道されたことが影響しているのではないか。
本田、長友が「W杯優勝」を公言するとともに、コンフェデに関してはこの二人以外にも、香川も「勝ちに来た」と語り、長谷部も「勝負しに来た」と語った。そういう選手たちの気迫が大きく報じられたことで、それを見た日本人サッカーファンの中に、「もしかして…」という気持ちが芽生えたとしても不思議はない。
だから、今回は現実を見せられたということ以外には、何もいえない。
やはりこれが、現段階での現実なのだ、ということだ。
だから、落胆することはない。もちろん、選手は自身が公言したことだから、ショックも責任も感じることだろう。だが、落胆や悔しさが大きいというのは、それだけ真剣に、それだけ本気で向かっていったということの証明だ。ピッチで戦う選手自身に、この悔しさ、失望、絶望、屈辱といった感情があればこそ、更なる成長がある。
だからやはり、私は選手たちをリスペクトせざるを得ない。
香川の試合後のコメントは、真剣に立ち向かい、そして敗れた者の心底からのコメントだと思う。
「まだ整理がつかない…」
「チャレンジできなかった自分が腹立たしい」
「これだけの差があるのか…」
「凄く残念」
最もどん底で屈辱を味わった者こそが、飛躍を遂げられる。
来年のW杯まででどれだけできるのか、定かではないが、しかし、それでもやるしかないではないか。そう腹をくくるしかないではないか。
私はやはり、日本代表選手を、香川選手を最大にリスペクトする。
(筆:小松英之)
小松英之(こまつひでゆき)
サッカーコラムニスト。
サッカー専門ブログ「BEE Football Spirit」アドバイザー、コラムニスト。
【略歴】
静岡生まれ。
小さい頃から地元の高校である清水商業(当時)や清水東、東海第一(当時)、静岡学園などの試合を見て育つ。Jでは清水サポ。大学卒業後に中国に渡り、日本代表やJリーグの観戦ができなくなるが、あふれるサッカー熱は抑えきれず中国サッカーの観戦及び取材を行うようになる。
【観戦経験】
英プレミア:マンU(香川移籍後)、チェルシー、マンチェスターC。
リーガ:バルセロナ
セリエ:ユベントス、ローマ。
【中国Cリーグ】
中国サッカーへの造詣が深く、山東魯能をはじめ上海申花や武漢卓アルといったクラブ関係者と交流があり、Jリーグのアジア枠設置に伴い、中国人選手がJリーグへ移籍する際の窓口の一つにもなっている。また、元中国サッカー協会会長の閻世鋒氏とは何度も会食している。
08年 山東魯能のCリーグ優勝祝賀パーティーに日本人として初めて正式招待。
09年 アジアチャンピオンズリーグ 山東魯能日本人アドバイザー。
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