【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

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【52/57-リーガに明るい未来はあるか-】コラム:クアットロディチ第八回

イングランド・オランダ・日本・中国の各国の指導者ライセンスを所持するサッカースクール!

小松英之の連載がブログで紹介されました!

【コラム】クアットロディチ 第八回 

『52/57-リーガに明るい未来はあるか-』

 前半戦19試合を終了して17勝1敗1分の勝ち点52、現在リーグ戦14連勝中(21節終了時点)。  FCバルセロナの今シーズンのリーガ・エスパニョーラでの成績だ。

 前半戦を終えた時点での過去最高の勝ち点らしく、昨シーズンに続き、リーガ記録を塗り替えている。世界中の誰もがすばらしいバルサのサッカーに魅了され、賛辞を送っている。 筆者もその一人ではあるのだが、しかし最大獲得可能勝ち点からたったの5ポイントしか失っていないのだ。同時にこの「異常」とも言える強さにある種の「危惧」を感じている。 果たしてこれは健全なフットボールのあるべき姿といえるのだろうか?

21節終了現在、首位バルサ、追走する2位マドリー、その差は7ポイント。3位にはビジャレアルがつけるが、マドリーとの差は6ポイント、得失点差に至っては10もの開きがあり、事実上今シーズンも優勝はこの両巨頭による「マッチ・レース」と見て間違いないだろう。

 しかし考えてもみてほしい。「三大リーグ」イタリア・イングランド・スペインでは確かにビッグクラブとプロビンチャーレの二極化は進んでいるが、セリエAではナポリが好位置につけリーグを盛り上げているし、プレミアでは意外なサンダーランドの躍進や、リバプールの低迷と、今シーズンも先の読めない展開で非常に一試合一試合に迫力があり、面白い。しかし、リーガではここ数年、ずっとバルサとマドリーの両雄がタイトルを独占している。最後にこの2強以外でリーガを制覇したのが7年前、0304シーズンのバレンシアまで遡らなければならない事実がそれを如実に表していると言えるだろう。

かつては”スーペル・デポル”と呼ばれ、CLの常連だった、デポルティボ・ラ・コルーニャも今や下位をさまようクラブに成り下がっている。「対抗馬」と言われていたクラブはほぼカネの問題から低迷への道をたどることになり、バルサ・マドリーの独走を許すことになった。このままの状態が続けば、まずリーガは競争力を失うだろう。

 マドリー指揮官、ジョゼ・モウリーニョが、バルサと対戦する下位クラブが、直前の試合とスタメンを大幅に入れ替えたことを指摘し、「初めからゲームを諦めてしまっている」とコメント。

 確実に残留したい(プリメーラに残るか否かがクラブ経営にも関わってくるような)クラブにとって、動かし難い巨大な岩、バルサより、まだ勝算のある下位クラブとの戦いのために主力を温存しておきたいと考える、これは普通の流れだろう。

 そうなると、バルサが今シーズン一度記録している80というようなスコア(第12節対アルメリア、アウェー)が増えてくる懸念がある。1軍と2軍が戦うのだ。トップのクラブは強くなり続け、下位のクラブはただの「勝ち星配給係」と化しているおかしな現象が起きている。

このようなクラブ間格差が起きてしまう背景には、スペインのテレビ放映権料の分配システムに問題がある。まず、バルサ、マドリーの両クラブに配分された後、その他18クラブに割り当てられるという形だが、今日のようにテレビ放映権料が莫大な利益を生む時代に、これでは不公平さを生むだけだ。 現にいくつかのクラブでは選手への賃金が未払いになるほど経営が切迫しているという。これでは選手獲得どころではない。

 下位クラブが選手への給料を支払うのに四苦八苦している一方、マドリーのように、C・ロナウド一人の獲得に130億円という天文学的な数字をつぎ込むというクラブもある。これではリーグの均衡は保たれない。これではマドリーとバルサが他の18チーム相手に見せるショーを毎試合見ているようなものであって、それはフットボールではない。 この状況を改善しない限り、リーガに明るい未来はないだろう。

 まずは、セビージャのデル・ニド会長ら、多くのクラブの会長が抗議している、テレビ放映権料システムの是正だ。均一に他のクラブにも収入が渡るようになれば、マドリー、バルサの収益面でのマイナスになると共に、今まで割を食っていた多くのクラブが選手補強などに資金を投じることが出来るようになり、クラブが強化されていくことだろう。

 そして、UEFAミッシェル・プラティニ会長が提唱している「フィナンシャル・フェアプレー」を導入することだ。

 これにより、一人の選手に130億円という馬鹿げた移籍金が支払われることもなくなり、特定のクラブが有力選手の乱獲をするのを防ぐことが出来ると共に、ビルバオやラシンに代表されるような、強力なカンテラ組織を持つクラブが将来有望な若手を多額な移籍金につられてビッグクラブに放出したりする、というケースも少なくなり自クラブで成長を促すことが出来るという意味も持つ。

 この制度の導入はまだ先で、導入されてもすぐ効果が現れることはないだろうが、何らかの策は講じなければならない。スペイン独自に”格差是正”の決まりを作るのも有効だろう。

 スペインには「醜く10で勝つくらいなら美しく45で敗れろ」という美学があり、常に美しく勝つことが求められる。その姿勢、繰り広げられるフットボールは確かに素晴らしい。しかし、リーグ戦以外のところでその価値を下げていると言わざるを得ない。

 

 このままではリーガに明るい未来は望めない。特定のクラブだけが利益を得る、歪んだリーグは早急に改めなければならない。

<筆者紹介>

中島雅淑 1983年 9月5日生まれ

19931996 地元の小学校のサッカー少年団でサッカーを始める。 当時は宇宙飛行士を夢見ていて「体を鍛えるため」という名目だったが、次第に魅力に取り付かれていく。

19961998 中学校のサッカー部に所属。 

1999- 高校受験とともに辞め、進学校だった事もあり、一時期サッカーから離れるも、プレーしなくなった事により、見る「目」が肥えてくる。 また、高校2年時にはアジアカップ2000が開催され、再びサッカー熱に火がつくようになる。 

2002- 大学のサークルでプレー。日韓W杯は全試合観戦。また「瑞穂陸上競技場」「豊田スタジアム」で名古屋グランパスの売り子アルバイトをしながら試合を観戦

2003- 大学中退して大阪へ 専門学校のフットサル大会のため体を動かす程度。テレビ局の関係でチャンピオンズ・リーグを定期的に観戦。

2006- 仕事の関係で東京へ プレーはしなくなるが、WOWOWに加入していたため、毎週リーガエスパニョーラを観戦。

2007- 地元岐阜に帰還。 FC岐阜が財政危機に陥っているという話を聞き、「地元のクラブを助けなければならない」という思いから、定期的にスタジアムに観戦に行く事になる。

2010- テレビ局の関係でプレミアリーグを見るようになる。

<エピソード>

嫌がる元カノを無理矢理瑞穂陸上競技場グランパス戦へ、 せっかくガストでいい感じで女の子と食事していたのに02/03のクラシコがテレビ放映されていたため、気がそっちへ行ってしまった実績あり。

波乱万丈な人生を歩む、だが東海屈指にフットボールを愛している27歳の男。

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