【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.13 2 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.13
February, 2018
2 of 5


f:id:songven:20180212104210j:image

---まずは、第9節のR&F富力戦についてお伺いします。中村選手は先発し、54分までプレーしています。左膝の痛みが治り、しかし復帰したばかりで体力的なコンディションがまだ不十分だった前の試合と比較して、この試合のコンディションはいかがでしたか?
※この試合は1/13のオリジナルからリスケジュールされた。
中村「前半プレーした感じからすると、90分できるなという感じでした。調子はすごい良かったし、動けているなという手応えもありました。それだけに、54分で交代を告げられたことにはびっくりしました」

---そうだったんですね。では、本人としては、交代がなければ、90分、十分にやれたという感覚ですか?
中村「そうですね。90分やれたと思います。それだけに、残念でしたね」

---試合内容ですが、前半42分に先制してハーフタイムを迎えるという理想的な展開でした。この試合でも、これまでのように、Taipo FCの守備は、はまっていましたか?
中村「はい。とてもうまくはまってました。前半、ひとつPKを与えてしまったんですが、それもGKが見事に止めてくれて。守備も、奪ってからのカウンターもよかったし、理想的な試合運びができていましたね」

---前半26分にPKを与えてしまったものの、GKがセーブしてチームのピンチを救った。これは試合展開的に、やはり大きかったですか?
中村「はい。それは本当に大きかったです。先制されていたら、試合の流れも変わっていたと思います」

---42分の先制点ですが、中村選手がパスをカットしたところから攻撃が始まりました。
中村「本当に理想的な得点でしたね。奪ってから、たった2本のパスでゴールまで結びつきましたから」

---中村選手が起点になってますよね。
中村「まぁパスカットしたのは僕ですけど、周りの選手がコースを消してくれて、たまたま僕のところでカットできただけであって、チームとして守備がしっかりできていました」

---でも、中村選手が奪ったことで、中村選手の展開力、判断力、パスセンスによって先制点につながったのではないでしょうか?
中村「どうですかね。僕のパスそのものは全然難しいものではなく、前の選手に渡しただけだったので、その選手のパスと、フィニッシュを決めたイゴール(元鹿島のアルシンドの子息)の突破力だと思います」

---前半34分に、中村選手はイエローを一枚もらっています。
中村「ボールホルダーに対して、激しく行ってしまいました。ただ、両チームとも、とても熱くなっていたし、あれくらい激しくいかないとっていう雰囲気もありました」

---この時は、「あ、これはイエロー出る」ってわかりましたか?それとも、意外なジャッジでしたか?
中村「これで出るの?という感じでした。激しくといっても、2回も3回もやっていたわけではなかったので。ただ、相手のホームであるというのはありましたね。ファールの度に、相手サポーターも騒ぐし、審判もつられてしまうところはあるのかなと」

---ハーフタイムでは、当然ながら、後半もずっとプレーするつもりでいたのでしょうか?
中村「それが、ハーフタイムに監督が広東語で、7番の選手(黄威)に、中村が下がったらお前が中盤に入るからな、というような話をしていたので、交代はあるなというのは気付いていました。ただ、54分に交代とは思わなかったですけどね。あと、イエローも貰っていたので」

---後半、80分にTaipo FCが追加点を奪うまでは、膠着状態が続きました。
中村「まぁ守備は安定していたし、攻撃もフィニッシュまでいい形でいけた場面もあったので、悪くはなかったですよね。ただ、落ち着きはなかったですけど」

---今季のTaipo FCに見られる傾向として、中村選手がピッチから去ると、中盤でのつなぎがなくなってしまうというのがあります。チームやボールを落ち着かせる場面が減る印象です。
中村「今のチームの志向として、中盤を省略して前に大きく蹴ってしまうというのはありますね。それでまた守ってからのカウンターとか。だから、中盤を落ち着かせるとかがなくなってきてるんですよね。その中で、いかに自分の色を出すかだと思うんですが」

---ただ、チームは2018年に入ってから、3連勝しています。そういうサッカーでも結果は出ている。これを、単なる結果オーライと捉えているのか、それとも、このやり方を続けてるから結果が出ているんだという戦略性があるのか、どちらでしょうか?
中村「うーん…。まぁ監督が結果オーライってことにしてしまっているのはありますかね。結果オーライというか、これで勝ってるじゃないか、と。ただ、選手はこのままじゃだめだと思ってやっているので。ラッキーな要素が多く含まれた勝利というのも、少なからずあるので。選手は危機感を持っていますよ。もっとできるはずなのになと」

---もっとできるはずなのにというのは、このままいくと、今は勝ってるけど、そのうち負けてしまうよという危機感でしょうか?
中村「そのうち負けるというか、まぁいずれは負けるでしょうけど、僕らは攻撃において、立ち返る場所がないんですよね。守備のところは形ができてますけど。もっと実力あるチームとあたって、こてんぱにやられたときに、立ち返る場所がない。だから、3連勝しているといっても、危機感は強いですよ」

---最終スコア2-0で勝利。この試合についてはどうですか?
中村「アウェイで勝てたことや、クリーンシートで終えたこと。また、相手も簡単ではなかったし、いいサッカーをするために試行錯誤しているいいチームだったので、とても価値ある勝利だと思います」


f:id:songven:20180212104234j:image

 

続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.13 1 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.13
February, 2018
1 of 5


f:id:songven:20180212102559j:image

 

2018年の最初の試合を勝利で終えた中村祐人がプレーするTaipo FCは、その後、続けざまにR&F富力とのアウェー戦、そしてサザン(KC Southern)とのホームゲームに臨んだ。中村祐人が自身初という、中国の広州市へ乗り込んでのR&F富力戦を0-2、そしてホームでのサザン戦を1-0で勝利して、Taipo FCは2018年が始まってからリーグ戦3連勝と好調を維持している。


しかし、その裏には、単純な戦績だけではうかがい知ることのできない事情があった。3連勝のチームに危機感を抱く選手たち。そして、この3試合でいずれも、ほぼ半分までの出場に留まっている中村祐人の心中。さらには、突然、中村祐人がFacebookでサポーターに向けて発信したメッセージ。チームが3連勝を飾る背景に何があるのか。


また、自身初という広州でのアウェー戦についても詳しく聞かせてもらった。そこには、以前も語ってくれた香港リーグの強化という願い以外に、チームの強化という思いも存在していた。システム上は同じ国であっても、個人感覚では違う国。そんな複雑な地域性をはらむこの地で戦う中村祐人ならではの事情がそこに垣間見えた。


中国や韓国など、旧暦でお正月を祝う国々は、2/16(旧暦の元旦)に向けて年末年始の休暇に入る。

香港プレミアリーグはシーズン中のため、香港に残り普段通りに過ごすという中村祐人に、リーグ戦の2試合を振り返ってもらった。



f:id:songven:20180212102629j:image

 

続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.12 5 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.12
January, 2018
5 of 5

 

f:id:songven:20180127111258j:plain

 

5 of 5
---ところで、あのフォルランが香港プレミアリーグの傑志に加入しましたね。
中村「あれだけのスーパースターが香港リーグに来るのは、本当に久しぶりなので、楽しみですね」
フォルランディエゴ・フォルランウルグアイ出身。ウルグアイ代表。ポジションはFW。マンチェスターユナイテッド、ビジャレアルアトレティコ・マドリーインテルなどでプレー。その後、Jリーグセレッソ大阪でもプレーした。ヨーロッパ・ゴールデンシュー賞を2度受賞。2010 FIFAワールドカップでは7試合でチーム最多の5得点を挙げて得点王タイ。大会MVPに選出されるなどの活躍で、ウルグアイ代表の40年ぶりのベスト4進出に貢献した。なお、傑志への移籍は、フォルランがインドでプレーしていた時代のチームメイトが、傑志にいたことがきっかけとなったと言われている。
 
---すでに香港プレミアリーグでデビューを果たしていますが、反響はいかがですか?
中村「やっぱり試合でも練習でも、観客を呼べるから、反響はすごいですね」
 
---中村選手がマッチアップするとしたら…(スケジュールを確認する)
中村「3月3日ですね」
 
---マッチアップすることについては、どんな風に感じていますか?
中村「僕が香港でプレーしてきて、フォルランほどのスーパースターとマッチアップしたことって、3回か4回くらいしかないんですよ。だから、純粋に楽しみです。僕が中学、高校くらいのときから、もう彼はスーパースターでしたから」
 
---マッチアップのイメージはできていますか?
中村「いや、それはもう、ぶっ潰してやると思ってますよ」
 
---素晴らしい(笑)。では、香港のサッカー界として、フォルランほどのスーパースターを迎えたことの意義をどう感じていますか?
中村「7~8年前に、マテヤ・ケジュマンとニッキー・バットという世界的スター選手が、二人同時に香港でプレーしていた時代があって、それ以来のスーパースターですし、フォルランくらいのスターだと香港人も知ってるから、スタジアムにお客さんが入る。それに、なぜ彼が、これだけ長きに渡ってスーパースターと存在していられるのかとか、香港の若い選手たちにとって、絶対にいい勉強になると思いますね」
 
マテヤ・ケジュマンセルビア出身。セルビアモンテネグロ代表としてもプレーした。ポジションはFW。PSVチェルシーアトレティコ・マドリーフェネルバフチェ、パリ・サンジェルマンなどのビッグクラブを渡り歩き、2011年に香港プレミアリーグ(当時)のサウスチャイナに入団した。
 
ニッキー・バットイングランド出身。ポジションはMF。長くマンチェスター・ユナイテッドでプレーし、デビッド・ベッカム、ガリー・ネヴィル、ポール・スコールズ、ライアン・ギグスらと共にプレーした。2010年に香港プレミアリーグ当時)のサウスチャイナに入団した。
 
---フォルランといえば、セレッソ大阪でもプレーしましたね。しかし、大きなインパクトは残せなかった。また、現在、ヴィッセル神戸ではポドルスキーがプレーしていますが、こちらも、当初の期待ほどのインパクトは残せていない印象です。中村選手は、こういいう現象をどのように見ていますか?
中村「直接的な結果だけを見るのはどうなのかな?とは思いますね。フォルランにしろ、ポドルスキーにしろ、在籍していたときに一緒にプレーした選手たちが、その後、2年、3年経って、どういう結果を残すのか。その時にもしかしたら『あの時、あの選手がいてくれたから』となるかもしれないわけじゃないですか?だから、目の前の結果だけで判断するのは、どうなのかなと思います。もちろん、目の前の結果を期待されることについては、理解できますけど」
フォルランは2014年1月にセレッソ大阪に加入し、1シーズンプレーした。それから3年後に当たる2017年シーズンに、セレッソ大阪は悲願のクラブ初タイトルを獲得。しかも、ルヴァン杯天皇杯の二つのタイトルを獲得するという躍進を見せた。
 
---そういう意味では、傑志というチームに与えるフォルランの影響は、ファンが目の前の試合で見ている以外のところでの影響が大きいということでしょうか?
中村「相当大きいでしょうね。自分も傑志に行きたいという選手も増えるだろうし、ユースの子たちなんて、一緒にプレーしたいって絶対思うだろうし。だから、チームに与える影響は、試合でゴールを決めるかどうか以外のところでも、とても大きいと思いますよ」
 
---その傑志が、今年のACLに香港リーグ代表として出場します。どのように見ていますか?
中村「それは、やはりがんばってほしいですよ。香港サッカーを世界に向けてアピールしていくのは、香港代表とACLの舞台しかないわけですから。日本、韓国、中国のクラブに比べたら、レベルは劣ることは確かですが、それでもホームではがんばってほしいですね。まぁ勝ち点5くらいは取ってほしいですね」
 
---ところで、誕生日でしたよね?何かプレゼントはありましたか?
※インタビューの前日が中村祐人選手の誕生日だった
中村「いや。僕は特にプレゼントは要らないので。(妻に)おいしいご飯を作ってもらいましたよ」
 
---そうなんですね(笑)
中村「あぁ、キングダムの最新刊は買いましたね。それをあとで読むんですよ!」
※ここで、大人気漫画「キングダム」が大好きな中村選手とコーディネーターが一緒に盛り上がる。
 
---誕生日おめでとうございます!そして、本日もインタビュー、ありがとうございました!
中村「ありがとうございました」
 

f:id:songven:20180127111358j:plain

 
 

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.12 4 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.12
January, 2018
4 of 5

 

 

f:id:songven:20180127104138j:plain

 
 
---では、改めて、第10節のDreams戦を振り返っていただきます。最終スコアは3-2で勝利しましたが、先制されて追いつき、引き離されて追いつき、そして最後に逆転という展開でした。
中村「先制されてるんですけど、実際には、前半は守備はしっかりはまってました。ただ、うちがチャンスを逃してしまっているうちに、アクシデントのような形で先制点を奪われてしまいました。でも、ロングスローからすぐに追いついた。でも、終了間際に、また失点してしまった。これは、うちの課題でもあるんですが、DFラインの上げ下げのところで、それを利用されて失点してしまったんです」
 
---スコアだけ見ると、前半だけで2失点していますが、守備はしっかりはまっていたんですね。
中村「そうです。決して守備が悪くて2失点してしまった、という感覚は僕にはありませんでしたし、監督も同じ感覚だったようです」
 
---今、お話に出ましたが、Taipo FCの1点目はロングスローからでした。これは、チーム戦術としてやっているものですか?
中村「いえ。チーム戦術ではないです。たまたま、あの試合に出ていたある選手がロングスローができるということで、それでやってみたらゴールが生まれた、という感じです」
 
---ロングスローはサッカーにおけるひとつの戦術ですが、ロングスローをそのままダイレクトで合わせてゴールというシーンは、私は非常に珍しいなと思いました。
中村「香港では多いですよ。いいスローワーがいるし、立派な戦術のひとつとして確立されています」
 
---1-2でリードされてハーフタイムを迎えました。中村選手ご自身は、どんな気持ちでハーフタイムを迎えましたか?
中村「当然、コンディションがコンディションだったので、早い段階で交代はあるだろうな、とは思っていましたね。でも、出ている間はがんばらないとな、と」
 
---だからといって、後半スタート時から交代させるのではなく、後半も10分ほどプレーしてからの交代でした。
中村「先ほど言ったように、2失点していたものの、守備は別に悪くなかったから、もう少しその守備を継続したかったんじゃないですかね」
 
---後半、チームは66分、77分と立て続けにゴールを決めて、逆転勝利を収めました。この後半の逆転劇を、中村選手はベンチからどのように見ていましたか?
中村「わりと安心して見ていられました。僕が抜けたからなのかどうかはわかりませんが、後半、攻撃と守備のリズムはあまりよくなくて。でも、逆にそれが、やるべきことを明確にしてくれた面がありましたね。得点するなら、セットプレーしかないなと。それで実際、セットプレーからの流れで同点に追いつきました。そうなると、相手も前に出てくる。それで、これは3点目もいけるな、という感じで見てました」
 
---リードされていたにも関わらず、安心して見ていられたんですね。
中村「はい。特に同点に追いついてからは、相手に焦りと疲労が見えたので、あ、これはいけるなと」
 
 
続く
 

f:id:songven:20180127104240j:plain

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.12 3 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.12
January, 2018
3 of 5

 

 

f:id:songven:20180127103515j:plain

 

3 of 5
---ユンロン戦が12/10でしたから、そこから1ヶ月、練習すらできなかったんですね。
中村「そうです。Dreams戦(1/21)の前の週まで、練習できませんでした。ただ、そのタイミングでMRIの結果も出て、注射で痛みも引いたので、再開しようか、と」
 
---トレーニングを再開し、結果的にDreams戦も先発しましたが、再開するにあたって不安はありませんでしたか?
中村「痛みどうこうの不安はありませんでした。それより、スタメンなんだ?っていう不安はありましたね。当然コンディションはよくないし、練習してても、身体のキレとか、明らかにベストなコンディションではなかったですから」
 
---試合に臨むに当たっては、コンディションはどれくらいだったんですか?
中村「50%くらいでしたね。だから、これでスタメンで出て、大丈夫かな?と。試合前は不安がありましたね」
 
---実際、試合が始まってみて、どうでしたか?
中村「前半の30分以降くらいから、やっぱりきつくなりました。試合展開的にも、中盤の僕たちのところに負担がかかっていたので。90分はないだろうな、とは思いました」
 
---中村選手としても、フル出場はないなと感じていた?
中村「はい。そうです」
 
---実際に、54分で交代しましたが、もし90分やっていたとしたら、どうでしたか?
中村「無理でしたでしょうね。チームメートに迷惑になってしまうくらいだったと思います」
 
---1ヶ月のブランクがあり、そこから復帰して1週間で公式戦でプレーする。やはり、身体のキレやプレー精度に影響しますか?
中村「もちろんです。本来であれば、試合に出られるコンディションではないと思いますし、監督も、そこはわかっていたと思います。でも、いろいろなチーム事情から、出ざるを得なかった。そのコンディションだったとしても、プレーしてくれ。そういうことだと思います」
 
---出場は54分。ご自身の前半でのプレーを振り返ると、いかがですか?
中村「前半は守備に負担がかかって、なかなか攻撃に出ていけなかったですね。コンディションも含めてですけど。ボールも足についてなかったし。でも、試合をしたことで、そこで走って走って、それによってコンディションを上げることができたな、というのは試合後、感じましたけどね」
 
---トレーニングをしない期間が1ヶ月あると、体力的に、90分間持たせることができないというのはわかるのですが、もっと細かいとことで、中村選手ほどの基礎技術とキャリアがある選手でも、足元の技術とか、プレー精度とか、パスの感覚とか。そういうものにも影響するものなのですか?
中村「僕はそうですね。練習で自信だったり、感覚を作っていくタイプなので。特に、ファーストタッチの精度は影響しますね」
 
---では、そういう影響も理解したうえで、試合に臨んでいたんですね。
中村「はい。その分、ディフェンスに重きを置いて、プレーしましたから。自分の想像の範疇ですね」
 
---試合後、左ひざの痛みが再発した、なんてこともありませんか?
中村「ありません。まぁその分、他のところで痛みが出たりというのはありますけどね。でもまぁ、大丈夫です」
 
---次は、すぐにアウェイのR&F富力戦です。もしも、この試合はフル出場してくれといわれたら、コンディション的にはどうなんですか?
中村「まだ厳しいことは厳しいですけど…。どうだろう。(コンディションは)80~90%には持っていけると思いますので。アウェイということもあるし、どうなるかわかりませんが。もちろん、プレーしろといわれれば、全力でやるだけです」
 
---ちなみに、次節のアウェイでのR&F富力戦は、香港ではなく、中国の広州まで行って試合をするんですか?
中村「そうです。中国まで行きますよ」
 
---チームの移動は?
中村「前日に、バスで現地入りします。僕もよくわからないんですけどね」
 
---香港プレミアリーグの公式戦を戦うために、香港から中国へ行く。これって、中村選手にとっては初めてですか?
中村「初めてですね。公式戦を中国で戦うというのも初めてだし、香港リーグ自体も、初めてだと思いますね」
 
---中村選手にとって、「あり」「なし」で言えば、このレギュレーションはどちらですか?
中村「全然ありだと思います。なんなら、もっと増えてもいいと思っているくらいです」
 
---確かに、日本のJリーグだって、北から南への移動は遠いし、まして中国リーグやアメリカリーグは、国土があれだけ広いですから、普段からすごい長距離移動をしてリーグ戦を戦っているんですよね。それを考えたら、香港プラス中国の華南地域(広東省広州市やシンセン市など)というのは、ひとつのリーグを組んだとしても、まったく違和感のない距離ですね。
中村「その通りです。それに、むしろそうしたほうが、ゲーム数も増えて、活性化すると思いますけどね。そうすれば、レベルも上がりますし。まぁ八百長問題とか、いろいろあることはありますが」
 
---では、次節も含めて、残りのシーズン。リーグ戦のほかに、タイトル獲得のための重要なカップ戦も2つ控えています。でも、戦えるコンディションはあると?
中村「はい。あとは単純に体力的な部分がしっかり戻れば、問題ないです」
 
続く
 

f:id:songven:20180127103549j:plain

 

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.12 2 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.12
January, 2018
2 of 5

 

 

f:id:songven:20180127103158j:plain

---試合を振り返る前に、まず怪我について詳しく聞かせていただけますか?
中村「12月のユンロン戦(12/10)の前くらいから、左ひざに痛みがありました。でも、とりあえずこのユンロン戦が終われば、1ヶ月ほど試合がないということで、プレーはしました。ただ、めちゃくちゃ痛くて…。それでも試合は2-2の引き分けだったので、最低限の結果は得られて良かったんですが。ただ、試合後もなかなか回復しなくて、ずっと痛みがありました」
 
---痛みが続いていたんですね。
中村「はい。それで、一度、ある程度まとまったオフ期間があったので、そこではもう一切トレーニングをせずにいました。ただ、オフが開けてトレーニングを再開して2日目くらいから、またすごく痛み出したんです。それで、病院にMRIを撮りにいきました」
 
---どのような診断結果だったのでしょうか?
中村「左ひざの外側に、ゼリー状の物体が溜まっている、とのことでした。水が溜まるのとは違うんですけどね。で、そのゼリー状のものが、痛みを引き起こしている、と。ただし、それがすぐに、じん帯や半月板に悪影響を及ぼすということではなかったので、様子を見ながら治していこうとなりました」
 
---ゼリー状のものですか。
中村「はい。とても珍しいケースのようですね。その場では、注射で散らせるのなら散らしてみようということで、注射を打ちました。それによって、ほんの少しですが、そのゼリー状の物体が除去できたんですね。ほんの少しですが。それで痛みが引いたので、今はその状態です。痛みが続くようならシーズン終了後にちゃんと治そうということになっていますが、今のところ、痛みはありません」
 
---そのゼリー状の物体が溜まってしまった原因はわかってるんですか
中村「それが、よくわかってないんです」
 
---試合中に激しくぶつけたとか、トレーニングのしすぎ、或いは、左ひざだけに負荷がかかるような動作が続いたとか、明確な原因があったわけではないんですね?
中村「ないですね。本当によくわからないんです」
 
---これまでのキャリアのなかで、同じような症状を経験したことは?
中村「以前、右足の甲にガングリオンが出来てしまったことはありました」
ガングリオン…ゼリー状の物質で形成された、手や足ににできる腫瘍のこと。
 
---そうなんですね。
中村「なんか、余計なものが身体に入ってきちゃう、そういう体質なんですかね(笑)」
 
 
続く
 

f:id:songven:20180127103426j:plain

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.12 1 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.12
January, 2018
1 of 5

f:id:songven:20180127102135j:plain

「1ヶ月、怪我で練習やっていない中で、先週復帰しての試合でした」
香港プレミアリーグ第10節であり、2018年の公式戦初戦。ホームに難敵Dreamsを迎えたTaipo FCは3-2で見事に逆転勝利。中村祐人も先発した。
気になったのは、54分で交代したこと。私が、「早く交代してしまったのは残念だけど、勝利おめでとう」とラインを入れると、中村祐人からは思いもかけない返信が来て驚いた。それが冒頭のコメントである。
昨年末、ひざの調子が良くないとは聞いていたが、まさか、1ヶ月もトレーニングに参加できない状態とは思っていなかったからだ。
それでもDreams戦の先発に名を連ねてプレーした中村祐人が、インタビューに応じてくれた。
 
「2018年の初戦を終えた、今の感想は?」と聞くと、「ほっとしています」との回答が返ってきた。自身も1ヶ月の離脱、チームもスケジュールの変更などにより公式戦から離れていた。そんな中、強豪Dreamsを破り、次節に繋げられたことに、とてもほっとしている、と。
 
怪我の状態。
残りのシーズンを戦うコンディション。
2018年の公式戦初戦。
チームと自身について語ってくれた中村祐人は、さらに香港プレミアリーグの傑志にやってきたフォルランについても語ってくれた。
 
ちなみに、まもなく開幕の平昌五輪についても聞いてみたが、冬季五輪はあまり興味がないとのことだった。人によっては、それでも取り繕って適当にインタビューをこなす人もいるが、中村祐人は違う。「あまり興味なくて…。すいません」と申し訳なさそうに、笑っていた。こんな「超」がつく正直さもまた、彼の人間的魅力だ。
 
それでは、2018年一発目のインタビューをお届けする。

 

f:id:songven:20180127102905j:plain