【公式】松本忠之「中国人は反日なのか」(コモンズ出版)著者のブログ

中国が発信している情報を偏見なく紹介します。その他、趣味のサッカー(ガンバ大阪/清水エスパルス/バルセロナ)やお酒の話題など。

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.06 November, 2017 3 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.06

November, 2017

3 of 5

 

—リーグの傑志戦から1週間後、カップ戦(シルバーシールド杯)の元朗戦がありまして、こちらもスタメンから外れました(中村祐人は延長前半から出場)。スタメンに自分の名前がなかったときは、どんな心境でしたか?

中村「そこは、監督と話しました」

 

—そうでしたか!監督はなんと?

中村「バランスとセットプレー対策ということでした。セットプレー対策というのは高さの部分で、僕が足りないからと。納得はできないけど、納得しなきゃいけないので、そこはしっかり監督と話しましたね」

 

—結果的に延長からの出場となりましたが、この試合では、途中出場はあると思っていましたか?

中村「思っていました」

 

—どういう試合展開になれば、自分に出番が回って くると考えていましたか?

中村「そうですね…。ボールがつながらないときや、劣勢のときですかね。この試合はそういう展開になったにも関わらず、なかなか声がかからなかったので、あれ?とは思っていましたが」

 

—この試合も90分間はベンチからチームを見守っていました。試合を振り返ってもらっていいですか?

中村「傑志戦のときもそうだったんですが、リードするとチーム全体が、ベンチも含めて、ふわっとしてしまうところがありますね。1-0でリードして後半を迎えたときに、もっと積極的に2点目を取りに行く、DFラインもしっかり高く上げる。そういう姿勢がないと、相手は恐くないのかなと思いながら見ていました」

 

—「この1点を守りたい」とい う心理が強く働いてし まうんでしょうか?

中村「そんな感じに見えますね。でも今季のうちのチームは、得点ができないチームじゃないんですけどね。1試合で2点、3点と取れるチームなのに…。なんででしょうね」

 

—この試合はカップ戦だったので延長戦があり、中村選手は延長開始時からの出場となりました。スコアは2-2。ピッチに入るに当たって、自分の役割はどういうものだと認識していましたか?

中村「チーム全体を落ち着かせるところと、ゴールを奪って勝利に導くところですね。ただ、延長のわりと早い段階で、相手の素晴らしいカウンターから失点してしまったので、そこからはちょっと急ぎすぎてしまったかな、という感じでした」

 

—延長で先に失点してスコア が2-3となったときの、 チームの変化は?

中村「延長戦では、前半も後半も、うちのチームはチャンス作ってたんですよ。でも、後半の早い段階で、パワープレーに走りましたね。僕としては、(パワープレーは)もう少し待ってもいいと思っていたんですけどね」

 

—パワープレーに走る前に、もうちょっとつなぐサッカーを続けるべきだったと?

中村「僕が個人的にそう思っているだけで、僕もチームに合わせていかなきゃいけないんですけどね…。ただ、CBが二人前線に上がったので、当然、相手のカウンターを防ぐために、中盤の選手が守備をしなければならない。でも、パワープレーでCBにロングボールを当てたとしても、そのセカンドボールを誰が取りにいくのか…とか。個人的にはCBを上げるのは一枚でいいと思っていましたね。二枚上げたのが監督の指示なのか、選手個人の判断なのかはわかりませんが。チーム全体として90分戦って疲れていたというのもあって、シンプルに戦いたかったのかもしれません」

 

—延長戦を戦っていて、相手と自分たちと、どっちのほうが最後まで動けていましたか?

中村「同じくらいだったと思います」

 

—この試合も、勝てる試合だったと感じていますか?

中村「はい。それはもう。傑志戦よりも全然勝てた、むしろ勝たなきゃいけない試合でしたね」

 

—それも、90分間で勝負をつけられた、という感じですか?

中村「そうですね」

 

続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.06 November, 2017 2 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.06

November, 2017

2 of 5

 

—単刀直入にお聞きします。なぜ傑志戦に出場できなかったんでしょうか?

中村「実はよくわかっていません。もちろん、納得もしていません。それに、試合展開がリードしたまま終盤までいけば、出場チャンスはないかなと思いましたが、同点にされ、勝ち越されて、得点がほしい展開になったので、(自分の出場が)あるのかなとは思っていたのですが…。結局、出場機会は来ませんでした。まぁもう過ぎたことではありますが」

 

—監督からも説明はありませんでしたか?

中村「ありませんでした」

 

—中村選手から監督に聞いたりは?

中村「それもないですね」

 

—傑志戦までの4試合は2勝2分。しかも全部アウェーゲーム 。チームは好調でした。にもかかわらず、5 試合目で突然、中村選手はベンチ。「チームが好調のときはメンバーをいじらない」というのはサッカー界における定説でありセオリーです。そこからいけば、中村選手がスタメンであるべきでした。もちろん、その一方で「スタメンを決めるのは監督である」という厳然とした事実もあります。もしも傑志戦にTaipoが勝利していたら、監督の采配が当たったということになりますが、試合には敗れた。中村選手のファンやサポーターからすれば、納得できないまま、もやもやとした感情を抱き続けていることと思います。

中村「そうですね」

 

—もちろん、一番納得がいかなかったのは、中村選手本人であるとは思いますが。その辺は、もうすでに気持ちは切り替えられたんですかね?

中村「はい 。もう今は、全然、なんとも思っていませんよ」

 

—スタメンに自分の名前がなかったとき、どんな心境でしたか?

中村「当然、なんで?とは思いましたけどね。考えたのは、傑志戦の前節で、僕のミスから失点してるんで、まぁ仕方ない部分もあるかなと」

 

—あのミスが直接スタメン落ちにつながったんでしょうか?

中村「いや、恐らく理由はそこじゃないと思うんですけどね」

 

—試合を振り返っていただきたく思います。Taipoは先制するも、逆転を許して1-2で負けました。中村選手にとっては、今季初めて、チームを90分間ベンチから見守ることとなったのですが、外から見ていて、中村選手の目にこの試合はどんな風に映りましたか?

中村「みんなす ごい果敢に戦っていたし、ひるむことなく向かっていってたと思いますね。ただ、試合途中から、やっぱり(先制した)1点を守りたいという心理が出始めましたね。後半はもっと勇敢にプレーできていたらと表いました」

 

—試合運びによっては、勝てるチャンスもあった?

中村「全然あったと思いますね」

 

—そうですか。この試合、チームは先制点を奪っていますが、チームの意識としては、先制点を取りにいこうという感じだったんですか?

中村「いえ。この試合に関してはそうではなく、まずは前半、きっちり無失点で終えようという意識が強かったですね」

 

—以前のインタビューで、傑志戦のポイントのひとつにチームコンディションを挙げて いました。傑志戦の前は怪我人が 多く、代表ウィークもありました。チーム全体としてのコンディションはどうでしたか?

中村「怪我人は戻ってきたんですけど、試合の後半にやっぱり失速しちゃいましたよね」

 

—この試合で今季リーグ戦の初黒星を喫してしまいましたが、相手は強豪の傑志で、しかもアウェーゲームでした。チームの雰囲気としては、負けはしたけど、この方向性で間違っていない、そんな感じでしょうか?

中村「そうですね。そんな感じです」

 

続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.06 November, 2017 1 of 5

Dialogue with Yuto Nakamura No.06

November, 2017

1 of 5

 

その日、海外のある街を歩いていると、マーヴィン・ゲイの「What’s going on」を女性歌手がカバーした曲が流れてきて、思わず耳を傾けた。 おなじみの「一体、どうなってるんだ?」(What’s going on?)のフレーズがリピートされるサビを聞きながら、私の心に去来したものは、突然の「ベンチ扱い」だった。

 

中村祐人がプレーするTaipo FCは今季、開幕から4戦負けなし、2勝2分という好成績を残してきた。その全試合に先発出場し、チームの公式サイトでも「全得点に絡み、中盤で指揮を執る」と絶賛されてきた中村祐人。満を持して迎えた傑志戦。ここで傑志を倒せば、第2節のイースタン戦での勝利も含めて、今季のTaipo FCの大躍進が確信できる。そして何より、中村祐人の言葉を借りれば「香港サッカーが盛り上がる」一戦だった。「自信だけはいつもある」と語って迎えた当日。もはや、誰もが中村祐人の先発を疑わず、私もスタメンを確認することなく試合前にいつものように応援メッセージを送信した。だが、念のためにスタメンを確認すると…。なんとそこに中村祐人の名前はなかった。そしてついに、出場することもなかったのであった。試合はTaipo FCが先制するも、同点、そして逆転を許し、1-2で惜敗した。

 

さらに、翌週に行われたシルバーシールド(カップ戦)の元朗戦。またしても中村祐人はベンチスタート。試合は2-2で延長戦に突入すると、最終スコア2-4でTaipo FCは敗れた。

 

リーグの傑志戦、シルバーシールドの元朗戦と、2試合連続して中村祐人はベンチスタート。それまで負けなしだったTaipo FCは、中村祐人をスタメンから外した2試合で今季の黒星を2つ作ってしまった。

 

スタメンは監督が決める。こんなにも当たり前なサッカー界の掟に対して、これほどまでに理不尽と憤りを覚えるのか…。納得できないという次元ではない。今すぐ香港に飛んでいき、「(中村祐人をスタメンからはずした)理由を説明しろ!理由を!」と叫びたい気持ちだった。それも、チームが勝ったのなら、気持ちを静めることができただろうが、既述の通り、2試合とも敗れているではないか。なおさら、「理由を説明しろ!理由を!」である。

 

そんな気持ちに、冒頭の曲が偶然にもマッチしたのであろう。まさに「一体、どうなってるんだ?」(What’s going on?)である。

 

今回のインタビューは、この2連敗の後に行われた。2試合連続のベンチスタートに、チームは公式戦2連敗。いったい、中村祐人は何を語るのであろうか。 少し風邪ぎみだっかのか鼻声だったが、それでもいつものように丁寧に質問に応えてくれた。

 

続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.05 5/5

Dialogue with Yuto Nakamura No.05

October, 2017

5 of 5

—次はいよいよ傑志との対戦ですね。

中村祐人「今、Taipoは怪我人が多いんですね。だから、傑志戦までにしっかり戻ってきてもらいたいですね」

イースタンには3-1で快勝しました。そして次の傑志。この2チームとの対戦成績によって、今季のTaipoの実力値が測れると思うのですが、いかがですか?

中村祐人「そうですね。アウェーゲームということもありますし、もちろん勝利を目指して戦いますけど、最悪、引き分けには持ち込みたいですね。そのためにも、やはり怪我人が戻ってくることが大事です」

—正直、自信のほどは?

中村祐人「自信だけはあるんですよ(笑)。だから、まぁどうなるか、見てみようって感じです」

—チームの雰囲気はどうですか?

中村祐人「悪くはないですが、楽観的でもありません。というのも、さっきも言ったように、チームに怪我人が多いことと、あと(香港)代表に行っている選手もいるので、代表戦を終えてチームに戻ってきて、実質、傑志戦まで2日くらいしか準備の時間がないんでね。まぁ代表に関していえば傑志もたくさん代表に選手を送り込んでいるので、条件は同じですが。ただ、香港サッカーを盛り上げるためには、ここで傑志は叩かなきゃいけないですよね」

—ある香港メディアは、中村選手の今季の活躍を、「チームの全得点に絡み、攻守に中心的な役割を果たしている」と称していました。ご自身としてはいかがですか?

中村祐人「まぁ全得点に絡んでるわけじゃないですけどね(笑)。それに、僕が出てない試合がまだないから比較できないですし、周りが点取ってくれるのは嬉しいですし…。うーん、よくわからないです(笑)」

—ところで、スペインのカタルーニャ自治州で起こっている出来事(記事1/5を参照)について、どう感じていますか?

中村祐人「単純にバルサの選手がスペイン代表からいなくなるっていうのは寂しいことですよね。彼らの感情の部分については私たちには分かりかねますが」

—中村選手がプレーする香港も、中国との間で複雑な政治的課題があります。でも、サッカーについては、香港代表も、香港のリーグも、独立して存在していますね。政治とスポーツの関係性についてはどう見てるんですか?

中村祐人「まぁ根深い問題ですよね。本当にごく一部のファンの行為なんでしょうけどね。個人的にどういう考え方を持っているのかは問題じゃなくて、でもそれを外で(サッカーのスタジアムなどで)出しちゃうのは、ちょっと違うかなと思いますね。

—ありがとうございました。次の傑志戦、期待しています!

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【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.05 4/5

Dialogue with Yuto Nakamura No.05

October, 2017

4 of 5

—去年のインタビューで、中村選手は、当時のチームを「先制されると脆い」と話していました。その意味では、チームとして成長していると言えますか?

中村祐人「言えますね。この試合みたいに、2回リードされたにも関わらず、それでも追いついたっていうのは、去年にはなかったですからね。そういう意味では、リバウンドメンタリティーというか、絶対に追いつけるんだっていう気持ちは、選手全員、しっかり持てていました。それに、攻撃はチャンスそのものがそんなに多くなかったので、それでも追いつけたというのは、成長した証だと思います」

—開幕からここまで、チームはなんと負けなしです。すごいですね!(4試合を終えて2勝2分)

中村祐人「(引き分けに終わった)開幕戦は、取りこぼした感が強いんですけどね。でも、4試合とも全てアウェーでしたし、それで負けなしっていうのは、まぁOKかなと思います」

—正直、開幕前はこの成績を予想してましたか?

中村祐人「イースタンに勝つとは予想してなかったです。だから、まぁ3勝1敗、もしくは2勝1敗1分くらいかなと」

—まだ気が早いですが、この調子なら、監督が目標に掲げるリーグ3位以内も、射程圏内ではないですか?

中村祐人「まぁ次が直接のライバルである傑志(キッチ)との対戦なんでね。そこで真価が問われるかなと。ただ、今節はリーマンと2-2で引き分けましたが、このタイミングでよかったのかもしれないですね。2連勝して、うちのチームは強いんじゃない?って勘違いしてくる選手もいますし。僕も含めて、ここで一旦、気持ちを引き締めるためにも、ここで引き分けになってよかったかなと。そんなに甘くないぞ、と」

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続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.05 3/5

Dialogue with Yuto Nakamura No.05

October, 2017

3 of 5

—相手の先制点は、直前の中村選手のプレーも影響してしまいました。振り返ってもらっていいですか?

中村祐人「相手のクロスというか、中に入れてきたボールを、ペナルティエリアの外だったんですが、僕がクリアしにいったけど、後ろに流してしまった。そのボールがダイレクトで中央に落とされて、シュートを決められてしまいました」

—自分のプレーが失点に絡んでしまうという経験は、中村選手ほどのキャリアの持ち主なら、これまでにもあったと思いますが、試合中にすぐに気持ちを切り替えられるものですか?

中村祐人「そうですね。まぁ引きずることはなかったですし、切り替えというか、その後も落ち着いてプレーできていましたよ」

—試合展開としては、点を取られて追いつき、また取られて、また追いつき、というものでした。中村選手は、これを「リードされても粘り強く追いついた」と見ているのか、それとも「勝てた試合なのに、追いつくので精いっぱいになってしまった」なのか、どっちだと見ていますか?

中村祐人「前者ですね。チーム内では後者だと感じている人が多いと思いますけど。たぶん、監督も。でも僕は前者ですね」

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続く

【中村祐人】Dialogue with Yuto Nakamura No.05 2/5

Dialogue with Yuto Nakamura No.05

October, 2017

2 of 5

—リーマンとの第四節は2-2の引き分けでした。実力差的に、この結果をどう見ていますか?

中村祐人「実力的には五分五分なので、まぁ妥当といえば妥当ですね」

—攻撃面では、この試合でも2ゴールあげています。その一方で、2失点しています。失点について振り返ってもらえますか?

中村祐人「リーマンがうちのことをよく研究していて、前半、嫌な形にされてしまいました。FWとDFの距離が開いてしまい、セカンドボールも拾われてた。それを修正するのに時間がかかってしまいました」

—具体的には、リーマンの仕掛けはどういうものでしたか?

中村祐人「うちのウイングバックの裏を徹底して突いてきました。スリーバックのストッパーの横の位置ですね。リーマンのフォーメーションは4-4-2なんですが、ワイドのMFが積極的にその位置に走りこんできました。そして、そこを目がけてロングボールを入れてくる。その戦術にはまってしまい、起点を作られてしまいました。ボールの出どころをケアすべきか、ラインを下げるべきか、その対応がしっかり定まらないまま、相手にペースを握らせてしまった感じです」

—チームとして、リーマンの狙いに気がついたが、なかなか修正できなかった、と?

中村「はい。それに、早い段階で先制を許してしまったことも影響しました。先制されたがゆえに、うちとしてはDFラインを上げて試合を進めたかったんですが、それが逆にDFラインの後ろに広いスペースを生むことになってしまったんです」

All Photos by Taipo FC

続く